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長野県北佐久郡
立科町~佐久市
 
  中山道芦田宿と望月宿とのあいだに茂田井という間の宿があります。
  本陣や旅籠などはなく貨客の継立てをする問屋もない街道集落で、旅人が2つの宿場のあいだで休憩地となる程度の役割を演じていました。
  写真:石割坂から集落の中心部に下っていく小径

 
間の宿という奇妙な集落


▲集落東端の丘からの街並み

  芦田宿から望月宿までの道のりはおよそ6キロメートルで、2里には達しません。宿駅のあいだに割り込む丘陵は、蓼科山から北に延びる尾根の北端近くで比較的になだらかです。険路ではありません。してみれば、中仙道を管理する幕府としては、茂田井にことさらに中間の宿場をつくる必要性はなかったと思われます。
  ゆえに、中山道の建設当初に茂田井集落は計画されていなかったようです。


▲武重本家酒造の前の街並み

  むしろ、幕藩体制の確立と安定という「徳川の平和」状況のもとで経済と物流が発達して、中山道沿いのこの地に経済力を備えた集落が形成されたために、民衆の側から宿場の建設の要望が出されたものの、幕府が求める正規の街道宿駅制度には適さなかったため、間の宿という過渡的な位置づけになったものと見られます。
  徳川幕藩体制は街道制度を建設して経済を発展を促進したものの、民衆(商人や農民)が求める経済活動や物流の仕組みの発展方向に、必ずしも適合的なものではなかったということでしょうか。

■北佐久の地理と茂田井■


▲茂田井間の宿への入り口

  芦田から望月までの地理を探るために、グーグルマップを「地形表示」にしてみてください。
  北佐久地方の中山道沿いには芦田宿から岩村田宿まで、比較的に短い道のり間隔で宿場が置かれています。芦田から望月にいたる地帯には蓼科山から何筋もの尾根が北に長く延びています。なかには千曲川の渓谷まで達しているものもあります。
  この一帯では、宿場街は南北に延びる尾根に挟まれている形になっているのです。
  芦田宿と茂田井とのあいだにもなだらかな尾根丘陵が割り込んでいて、茂田井と望月宿とのあいだにもやはり尾根丘陵が割り込んでいます。とはいえ、茂田井付近の尾根はずい分なだらかになっています。
  そのため、旅人は芦田を出てから丘陵を越えて茂田井に入り、茂田井からふたたび尾根坂を越えて望月宿に到達することになります。


▲漆喰壁の土蔵が並ぶ

▲無量寺に向かう小径

  したがって、坂の上り下りに体力を使った旅人としては茂田井辺りに休憩所がほしくなろうかと思われます。ニーズがあればサーヴィスを提供して収入を得る場が自然に成長したとも言えます。北佐久は豊かな農作地帯になっていて、ここに街集落を形成するに足る余剰農産物を生み出していたのです。
  茂田井は正規の宿場ではありませんから、本陣や貨客継立て業務を担う問屋(問屋場)を設け運営する必要はなかったので、その費用分の負担――これが税賦課に当たる――はありませんでした。
  とはいえ、芦田宿や望月宿の宿駅業務を補佐する助郷として、荷駄貨客の輸送のために村人を派遣しなければならなかったので、それなりに重い賦課を担わされていたのです。
  しかし、地場の農業生産と街道物流経済の発達による恩恵を受けてもいたので、街道沿いの集落としては恵まれた地位にあったといえるかもしれません。

  さて、現在残されている懐かしく美しい街並みは、昭和初期から30年代頃までの家並みだと思われます。江戸時代には、土塀や漆喰土蔵を建てることが許されたのは、本陣や問屋、有力な地主でもある富裕な酒造業者などに限られていて、そのほかの住民は茅葺屋根で漆喰なしの住居や土蔵を保有していたはずです。

写真の配列は、中山道に沿って茂田井の景
観を西から東に見ていくようになっています。

坂の向こうに芦田宿がある

街道沿いの家屋には出梁造りが一部残っている

端正に修復された古民家

茂田井の一里塚跡

石割坂。ここを下ると茂田井集落。

和風古民家が並ぶ美しい街並み

伝統を継承した1960年代の街並み

漆喰土塀が街道両脇に続く城下町のような景観

集落内では街道の往時の起伏が均されている

漆喰塗りの土蔵も景観の大事な要素

 
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茂田井近辺のディオラマ

  • 個体間の宿近辺の地形が立体的にわかります。
  • ふるさと交流館「芦田宿」の展示です。

芦田宿近辺のディオラマ

  • 長久保から芦田までの立体地形がわかります。
  • ふるさと交流館の展示です。

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