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長野県小県郡
長和町和田
 
  和田宿から長久保宿までのあいだには、古くから街道沿いに村落が点在していたそうです。
  中山道を下りながら下和田界隈の街道沿いの名所や史跡を訪ねてみましょう。
  写真:下和田上組から中組あたり。尾根の麓、街道沿いに集落が広がる。

 
依田川沿いの旅

  このサイトの「和田宿をめぐる旅 7」では和田宿の外れ狐坂まで歩いてみました。今回は、狐坂の下から青原まで、およぞ3~4キロメートルを道を歩くことにします。江戸時代には青原は和田とは別の独自の村だったかもしれません。
  北東方向に依田川の西側(左岸)を往く旅で、依田川の浸食で形成された広大な谷間をめぐることになります。
  幕藩体制のもとで下和田村の集落はすべて和田宿の助郷でした。助郷とは、宿駅の街を補助すべき集落で、宿場町だけで担いきれない貨物や旅客の運送(伝馬や歩行役)業務を手助けすることを義務づけられた郷村のことです。⇒参考記事


▲下和田上組の田園から和田峠方面を望む。
  緩やかな斜面に広大な水田や畑が広がっている。

  助郷の旅客輸送の補助サーヴィスは、年貢=納税として位置づけられていたので、必要な農繁期に農作業を止めても、幕府が定めたわずかな手当てで勤務しなければならなかったので、住民にとっては大きな負担となりました。
  武士身分による統治はそういう無理や理不尽を強いる側面はありましたが、この辺りは水に恵まれていて概して豊かな穀倉地帯でした。

■下和田郷を往く■

◆若宮八幡宮かいわい◆


▲下和田上組にある一里塚

  狐坂を下り切って芹沢というバス停を過ぎると下和田上組という地区になります。谷の両側に標高1000メートルを超える山並みが迫っています。
  街道右手(東側)の草原の端に「中山道一里塚跡」の石碑が立っています。碑には「江戸より四十九里」と刻み込まれています。江戸日本橋を出発してからここまで、およそ184キロメートルの道のりだということです。

  一里塚跡のすぐ北側には若宮八幡宮の鎮守の樹林。この八幡宮の祭神は仁徳天皇(おおさざきのみこと)だとか。和田郷の形成当初からあったのかもしれませんが、羽田本家の保有地だったと思われます。
  戦国後期の16世紀半ば、武田家の信濃攻めで追い込まれて自刃した大井信定父子の首級と墓碑が境内にあります。とはいえ、目立つのは羽田本家の先祖の墓碑です。
  この神社の管理は和田本家が執りおこなってきたとかで、例祭も和田家の司祭がないとできなかったそうです――現和田家当主の話による。


▲和田本家の先祖の墓碑

◆たくさんの馬頭観音◆

  ところで、中山道沿いには夥しい数の馬頭観音碑があります。若宮八幡宮の近くにもいくつもあります。やはり街道継立ての伝馬で働いた馬が多く、その埋葬や慰霊がそれだけ多かったということでしょうか。
  それとも、明治以降、現代まで道路の建設や整備にともなう区画整理のさいに、工事や整理のさいに移動を余儀なくされた馬頭観音碑を旧街道脇に集めたということでしょうか。
  あるいは、輸送や農耕に使役され、人とともに暮らす馬の数がそれだけ多かったということでしょうか。

  馬頭観音は神仏混交の信仰対象で、菩薩仏でもあり神でもあるようです。鎌倉期からは戦国時代までは騎乗する武士が戦勝を祈願する守り神でしたが、江戸時代には、人の間近にいる馬という生き物をことのほか慈しむ平和の守り仏=神となったといわれています。


道路の右手が若宮八幡宮

下和田上組の東方の山並み


神社の周囲の様子。樹林のなかに社殿がある。

道路脇の神楽殿(北からの景観)

神楽殿の奥に本殿

神楽殿と本殿。脇には史跡としての説明板。

若宮八幡に向かう街道の様子

馬頭観音碑が並ぶ街道脇
馬頭観世音は本来、柔和と憤怒など四つの顔面をもち、馬に跨って世界中を駆けめぐって正義・勧善懲悪と大慈悲救済を施す菩薩だったが、やがて鎌倉期以降には武家の守護神となった。ところが、平和が到来した江戸時代には馬の神となったという。

道路脇の碑の上の水田畔にも馬頭観音碑がある

  八幡社の西側の山道を登ると、大きなヤマザクラが立っている。樹齢は200年くらいだという。
  根元には小さな石の祠が置かれている。晩秋の柔らかな陽射しを浴びて、少しほっこりした。

 
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