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長野県上田市
 
 
北国街道沿いの外堀  

  上田城は千曲川とその支流群がつくり出した上田盆地の北端に位置しています。そこは、東側を南北に流れる神川水系と北側を流れる矢出沢川水系が形成した複合扇状地をなしています。この扇状地は千曲川に向けて北から南に傾斜しています。
  真田家は、上田城を取り囲む堀に蓄える水を城の北側矢出沢川から引いて、南側の尼ヶ淵に落としました。したがって、矢出沢川の治水は、城下町の用水の確保のためだけでなく、城の防御にとっても決定的に重要なものでした。
  上掲の巻頭写真は、向源寺と正栄寺(左手の土塀の奥にある)の脇を流れる矢出沢川。北国街道は右手の家並みの南側を通っている。


石垣下の河川敷は映画『たそがれ清兵衛』のロケ地となった。撮影は4月半ば、梅と桜が同時に咲き始めたが、
河川敷の樹々はまだ冬の装いを残している。だが、枝の葉芽は膨らんで、まもなく若葉が芽を出し始めそうだ。

■北国街道に沿って流れる矢出沢川■

◆矢出沢川は城防衛の要◆

  上田城は、戦国末期に真田昌幸が徳川家を言葉巧みに説得して築かせた城砦です。築城当初から江戸時代まで、上田城はその南北を防御する外堀として、2つの自然の河川――尼ヶ淵と矢出沢川――を利用していました。
  城の南側を流れる尼ヶ淵は千曲川の分流で、上田城の南側に切り立った河岸段丘崖をつくり出し、矢出沢川は城の北側にこれまた深い渓谷を刻みました。ともに、城の防御に役立つ要害となっています。
  もちろん、築城後に真田家は城の防御や惣構えとしての城下町建設のために、河川の岸畔や流れそのものに手を加えて、堀としての機能を強化しました。また、関ケ原の戦いの後に徳川家はひとたび上田城を破壊しましたが、新たに入封した仙谷家が城郭や堀を再建強化しました。そのときに、矢出沢川から城の周りの堀に水を引き尼ヶ淵に落とす水路を構築したようです。
  今回は、矢出沢川――上田城の北側の外堀――の河畔を川の流れに沿って散策してみます。めぐり歩く区間は、北国街道上田宿柳町の神宮橋辺りから始まって、高橋の下手、「蕎麦店くろつぼ」や「そえるカフェ」の裏手で川が曲がって南に向きを変える辺りまでとします。

◆矢出沢川水系◆


▲支流の小金沢川

  矢出沢川は千曲川の支流のひとつで、東太郎山南東の中腹を水源として流れが始まり、砥石城跡の西側を流れ下り、玄蕃山公園の付近で西に流れを変えて、城北の柳町の辺りで北国街道沿いに西に流れていきます。そして市街常磐城3丁目で流れを南に転じ、やがて千曲川に合流します。。
  私たちが散策するのは、柳町から蕎麦店「くろつぼ」の西側の辺りまで、およそ2キロメートルほどの道のりです。

◆上田城の破却と再建◆

  矢出沢川は、神宮橋から上田駅近くから北上したのちに大きく曲がって西に向きを転じた北国街道に沿って流れています。いや、川の南の畔に北国街道ができたというべきでしょう。
  したがって、上田宿柳町通りをはじめとして、旧北国街道の趣を今に残す家並みが川に沿って続いています。河畔めぐりは、上田の街歩きとしても絶好のコースです――別の記事で紹介します。
  私が取材・撮影に訪れた4月半ば、おりしも梅や杏、桜が一斉に咲き始めていました。河畔は花見そぞろ歩きにも最適です。
  矢出沢川はその昔はかなりの暴れ川だったようです。柳町の神宮橋の辺りまでは、渓流の面影をとどめています。
  上田城の城下町を建設したさいに、真田家はこの辺りの川の流路や岸に手を加えて改造したと伝えられています。城の外堀として活用すると同時に、城下町の水害を避けるためだったと思われます。
  北側の高原に位置する「真田の里」と城下の街とを結ぶ道路のために橋を何本か架けましたが、いざ戦となれば、橋を切り落とせば、川は渡渉が困難な自然要害となるのです。ことに戦国時代には、戦が始まりそうな状況になると、川の上流部――例えば砥石城脇――に堰を築いて貯水し、開戦後に敵兵が川を渡ろうと河床に降りると、堰を切って激流を発生させて殲滅する作戦を取ったそうです。


▲南に流れを変える矢出沢川


▲この付近は諏訪部と呼ばれる地区

  矢出沢川は、高橋の下をくぐると、蕎麦店「くろつぼ」や「そえるカフェ」の北側で大きく向きを変えて流れを南に転じます。
  その辺りには石垣の護岸が築かれていて、対岸から眺めるとまるで城の石垣のように見えます。なかなかに見栄えのする風景です。
  そのせいか、石垣がある河畔と河川敷は、映画『たそがれ清兵衛』の剣術シーンのロケ地となりました。
  このあと、流れは上田城の西側の外堀となって400メートルほど南下して尼ヶ淵に流れ込み、尼ヶ淵はここから500メートルほど西で千曲川本流に合流したようです。


▲南に流れる矢出沢川


矢出沢川の支流、黄金沢川。河畔は桜の名所。

中央は柳町の神宮橋(上田大神宮の参道)

蛭沢川は柳町で矢出沢川に合流する

河畔には桜や梅が植えられている

市街地のビルの谷間を流れる

矢出沢川の畔には樹林や草地が続く

河畔の梅や桜が開花し始めた

向源寺下の流の様子。深い渓谷となっている。

高橋を渡って北国街道は川の右岸に移る。

高橋の真ん中に立って上流を眺める

高橋下の河床から上流の眺め


高橋を過ぎると矢出沢川の流れは南転し始める

「くろつぼ」の裏手。高さ3メートル近い石垣護岸。

映画『たそがれ清兵衛』のロケ地

南に流れる矢出沢川の河川敷

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真田期の上田城縄張り

  • 戦国時代末、真田家が領主だった時代の上田城の縄張りの復元推定絵図です。

上田城跡公園の案内図

  • 江戸時代の真田上の縄張り絵図
  • 現在の上田城跡の構造(遺構)の絵図
  • これらを比較できます。
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