本文へスキップ
長野県大町市大町
 
  大町市の東の霊松寺山の中腹に信州で最古の禅寺があります。
  深い森に囲まれた寺院の境内と周囲には、目を見張るような美しい四季の風景が移ろっていきます。
  写真:晩秋の霊松寺境内庭園(撮影11月はじめ)。

 
大町東山の禅寺  


▲錦繡に包まれた霊松寺の境内と堂宇:左手が本堂でその奥が庫裏

  功徳林大洞山 霊松寺は、1404年に開山された曹洞宗の禅寺です。信濃では最古の禅寺として、総本山の總持寺から「信濃国初開の道場」という称号を授与されているのだとか。
  ところが、霊松寺の開山よりもずっと以前、仁科郷を治めた藤原保昌の菩提を弔うために開基された天台宗の寺院、保昌院が藤原氏居館跡にあったそうです。15世紀はじめ、この地の領主となった仁科家が、實峰良秀禅師を招聘して平氏系の仁科盛遠を弔うため、霊松寺を開いたのだそうです。


▲山門は12脚の楼門:
1878年に廃寺となった松川村の観勝院から霊松寺に移設された

  今回も、山深い場所なので、まず交通アクセスをご案内しましょう。
  クルマでなら……国道147号で大町市街に入り、合同庁舎前から東進する道路で山田町の御嶽山国立神社近くまで来て、千国街道脇の駐車場を探して駐車。国立神社脇の遊歩道を(15分ほど)歩いて霊松寺に参詣します。
  歩くのが難しい方は、クルマで県道394号の雪除け洞の中途から林道霊松寺山線で南に向かい、案内標示にしたがって霊松寺横の駐車場まで行くことができます。または、県道394号で静の桜公園近くの交差点で県道497号に入り南進、標示にしたがって霊松寺駐車場へ。
  鉄道を利用する場合、JR大糸線で信濃大町降車、全部歩くと霊松時まで1時間(約4キロメートル)ですが、タクシーで御嶽山国立神社まで行って、遊歩道を歩くとよいでしょう。

■信州で最古の曹洞宗禅寺■

◆仁科郷の歴史◆

  大町は古くは仁科郷と呼ばれていました。10世紀末に藤原保昌が信濃鎮撫使(大和王権の地方長官)として赴任し、以後、藤原家が三代にわたって仁科郷を治め、三代、保近は初代保昌の菩提を慰撫するために、この地に天台宗の保昌院を建立したのだとか。藤原氏の後には一條氏がここを支配しました。
  寺伝によると、11世紀半ばに平清長が仁科郷の領主となって仁科家を名乗り、以来、16世紀半ばまで豪族としての平氏系仁科氏の統治が続きました。公卿に服属して荘園での警護を担っていた地方豪族が武力を土台に自立して領主となり、荘園を切り取って所領支配をするようになると、その姓として所領である郷名を名乗ることになったのです。
  ところが、承久の役(1221年)で仁科盛遠は戦死して平氏系仁科家は断絶。やがて14世紀半ばに仁科盛忠がこの地の領主となります。仁科家は、すっかり荒廃していた保昌院を再興しました――領主としての仁科家の正統性を示すためか。


▲尾根筋に残る古い祠

▲鐘楼と梵鐘

▲鮮烈なドウダンツツジの紅葉

  1404年、領主仁科家は家門の始祖、盛遠の菩提を弔うために實峰良秀禅師を招聘し、保昌院を禅寺霊松寺と改め開山したのだとか。曹洞宗の禅寺としては信濃で最初に開かれたものだそうです。こうして、霊松寺は仁科家の菩提寺となります。
  戦国時代、16世紀後半、仁科家は武田家の家臣となりますが、やがて高遠で織田家によって滅ぼされ、5世紀以上にわたる仁科氏の統治は終焉しました。
  織田・豊臣政権下では、仁科家の菩提寺としての霊松寺は寺領を奪われて荒廃しましたが、17世紀半ば、徳川幕府のもとで寺領を復元されて再興しました。しかし、19世紀半ばに善光寺地震で火災となり、同労伽藍は焼尽してしまいました。
  嘉永年間に庫裏再建から復興を進めましたが、明治維新の廃仏棄釈政策で廃寺の寸前まで追い込まれたようです。しかし、霊松寺30世住持、安達達淳が明治政府の太政官を説得して、廃仏令を撤回させ、寺の復興への道を開いたのだそうです。


▲樹林越しに見える本堂の大屋根


10月末から後立山連峰は雪化粧を始めた

北アルプス山麓はまだ晩秋の景色。手前は大町市街。

霊松寺山中腹の鐘楼脇から鷹狩山方面を眺める

晩秋の林道霊松寺山線

満天星つつじの紅葉に囲まれた鐘楼

西から霊松寺の境内を回り込む小径から

まるで紅葉の膜に囲まれたような景色
本堂脇の古くからの霊園の佇まい

山の尾根のように天を衝く庫裏の大屋根

霊園から境内に降りる小径

黄金色に輝くオハツキイチョウは楼門の脇に立つ
 
信州の寺院と神社

信州の三重塔めぐり

信州の鎌倉 寺社めぐり

上田 寺社めぐり

飯山寺めぐり

小布施の寺社めぐり

のんびり写真館

街歩き写真館

木曾路・奈良井の心に残る風景写真を特集

  • 街並み景観、風物
          フォトギャラリー
  • 木曾路・奈良井散策

奈良井まちあるき

小布施まちあるき

別所温泉まちあるき

塩田平をめぐる旅

◆ブログ風の記事案内を見る

|  次の記事に進む  |

◆霊松寺 Googleマップ◆