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長野県諏訪市中洲宮山
 

【本宮の塀重門】門のなかに参拝所がある
  諏訪大社上社本宮は江戸時代には大鳥居の手前まで諏訪湖の波が寄せていたといわれています。鎌倉時代には拝殿の前まで湖面だったようです。
  現在の地形は、明治以降の干拓や埋め立て、護岸工事などによって形成されたものです。拝殿の前に立って目前まで湖水が来る葦原だった風景を想像してみましょう。

 
歴史のなかの神社  


▲本宮の拝殿:左右の片拝殿が並び、その奥に幣殿がある。

  神社が祀る神は永遠の存在かもしれませんが、神社そのものは自然環境や社会環境のなかでさまざまな変化を受けていきます。いや、日本では神々は国造りの歴史神話のなかに登場するので、神々自身も歴史的変遷のなかにある存在なのかもしれませんが。


▲西宝殿:東西の宝殿に神が6年おきに遷座するという。

  諏訪大社上社本宮の社殿は数々の戦乱や火災などに巻き込まれ、何度か再建され造り変えられてきました。
  ことに明治維新はこの神社と神域に大きな転換を強いたようです。別当寺であった神宮寺は、神仏分離令と廃仏令という2つの太政官令によって破却され、大和王権系の国家神道の秩序に組み込まれました。
  諏訪大社自体の創生神話では神は信濃の国造りをおこなった存在として崇敬され、信濃国一之宮として自らの秩序の中心に位置づけられています。

■境内と社殿をめぐる■


▲鳥居を入って右手(西側)にある社務所

  上社本宮は、建御名方神とその妃、八坂刀売神を祀った神社です。信濃国を創成した神々ですが、大和王権の国造り神話『古事記』では、大国主の次男、建御名方神は、大和王権系の神に国を譲るよう迫られたことに反抗して、出雲から信濃の諏訪まで逃れてきたことになっています。
  そして、建御名方神自身が今度は諏訪の地で征服者となって、自らの秩序による国造りをしたということになるようです。神話はつまるところ、権力と秩序=序列をめぐる神々の争いの歴史を物語っているのかもしれません。


▲塀重門の奥の勅願殿

▲参拝所は門の造り

  さて、大鳥居をくぐると正面の石段の上に塀重門があって、この壇上にいろいろな社殿が並んでいます。私がまず目を引かれたのは、端正な造りの勅願殿で裏山を背負う位置にあります。とはいえ、勅願とは無関係のようです。

  このの壇上の最奥には幣拝殿があって、その前には参拝所門が立ちはだかっています。諏訪大社特有の左右片拝殿が対称の位置に並んでいます。本殿はなく、拝殿の後方に幣殿が置かれています。
  北東方向を向く幣拝殿が正面に見据えているのは諏訪湖です。あるいは下社秋宮、春宮とともに諏訪湖の中心を見つめているのかもしれません。

  幣拝殿や宝殿が並ぶ一角の手前には「布橋」と呼ばれる渡殿――屋根でおおわれた通路――がある。その奥には境内社の祠や御柱祭の用具などが並んでいます。
  布橋の手前に「天水流舎」という社殿があります。説明板によると、どんな旱魃のさいもこの屋根から天水が滴り落ちていて、それを持ち帰って祈ると雨が必ず降ると言い伝えられているとか。つまり雨乞いの神様の祠ということでしょうか。いかにも農業の神様の神域に似つかわしい風趣です。
  布橋の前の下の段には重厚な造りの神楽殿があります。ここで神楽を奉納するのでしょう。大きな太鼓が目立ちます。


▲境内は樹林が陽を遮ってほの暗い

  神楽殿から駒形屋まで境内は、鬱蒼とした樹林に陽射しが遮られてほの暗くなっています。そこから、石垣で支えられた壇上の布橋と幣拝殿を見上げると、まるで城郭のように見えます。
  駒形屋(駒形舎)は、奉納された2頭の神馬像が収納されたが蓋殿で、やはり農耕や戦で活躍した馬を称えるという趣旨なのでしょうか。

  南東端の入り口門まで来て気づいたのですが、本来はこの門から布橋を渡って、参拝所に進むようになっているようです。
  この神社の境内通路は、神体としての守屋山の東側の尾根裾を等高線に沿って東から西に歩むような造りなのです。


▲南東側の参道


八ケ岳が目の前に広がる

本宮大鳥居に向かう参道

境内から宮前参道を眺める

御柱:一の柱

天水流舎:天水をもたらす社殿

布橋と呼ばれる渡殿通路

布橋の奥に並ぶ御柱の用具

布橋の奥に並ぶ祠

神楽殿は上皇な造り

神楽殿の正面
布橋の入り口門

神馬2体が納められた駒形屋(舎)

南東端の大鳥居

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