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長野県諏訪郡下諏訪町
〜小県郡長和町和田
 
 
和田峠越え 高原の旅

  往時、和田峠には唐沢、西餅茶屋、東餅茶屋、樋橋、落合の5か所に茶屋があって、旅人の休息所になっていました。これに接待下に永代人馬施行所が設けられていました。
  幕府が統治する中山道だということで、そういう旅行補助と公共福祉とを兼ねた施設があったのです。それだけ和田峠越えは厳しく、危険がともなう山中の旅だったということです。


▲永代人馬施行所の茅葺家屋 厳しい和田峠越えに備えた公共福祉施設だった。

■旧中山道 高原の旅■

◆山頂から東餅茶屋跡を越えて◆

  峠の山頂に向かう旧中山道は、トンネルよりも500メートルほど西にある谷間伝いに登ります。頂上部は標高1640メートルで、快晴の日には遠く御岳を望むことができます。
  山頂を越えて10分ほど下るとすぐに休憩食事処「農の駅」があって、一休みできます。寒い日なら、私はこの店の「きのこそば」を食べたいところです。とろみのある汁を啜ると体が温まります。
  このあたりは標高1450メートルほどです。農の駅の前では、国道142号がビーナスラインと交差します。こここはまさに「高原の旅の十字路」で、ビーナスラインを北上すれば美ケ原高原、南下すれば霧ケ峰高原に到達します。

  さて、山頂付近から下ってしばらく行くと東餅茶屋跡の脇に来ます。ここにはその昔、5軒の茶屋があって、峠を往来する人の休憩所になっていました。
  寛永期以降は各茶屋に扶持米が与えられて、遭難や病気の旅人の救助に当たることもあったとか。

  この辺りまで来ると、山腹の勾配もかなり緩やかになって、街道の山道も平坦になります。草芝で覆われたところもあって、山歩きが楽しくなります。
  ところどころに石畳舗装の道もあります。この辺りはもともとはガレ場で、江戸時代にも石畳が敷かれていたようです。しかし、長い間に石が劣化し摩耗したので、最近になって舗装し直したようです。
  奈良井から藪原まで鳥居峠を越えたときには、当時からの石畳が摩耗していて、斜度がきつかったこともあって、濡れた石が滑りやすかったのを思い出しました。

◆石畳の小径、長坂から接待へ◆

  東餅茶屋跡から800メートルほど進むと広原の一里塚。小径の脇に差し渡し10メートルほどの塚(土盛りの小山)があります。山林のなかでこういう人の手による構築物を見るとひと安堵します。
  そこからさらに2キロメートル余り進むと、蛇行した国道142号と出会います。国道の向こう側が接待で、視覚に近藤巡査慰霊碑、さらにその下に永代人馬施行所があります。


▲永代人馬施行所の焚火炉跡

▲煤けた梁。天井の茅材は、煤がついていないので、近年葺き替えたもののようだ。

  この施設は、江戸の豪商が幕府に寄付した千両を基金として、冬場峠越えの旅人に暖を取らせるため粥と焚火を、牛馬には年中小桶一杯の煮麦を提供しました。

  ところで、茅葺家屋脇にある巡査の殉職慰霊碑の脇には、石で縁取りされた沢または小径の遺構が残されています。私として、ここは斜度がきついので、石で土止めをした街道跡ではないかと思います。

  永代人馬施行所の前(南側)には、駐車場を兼ねた広場があります。クルマで来た人もここで近辺の史跡や建物を見て回ることができます。
  広場の西の隅には、大きなアカマツがあって、その下に清水(水汲み施設)があります。この清水の水質の良さは一帯の人びとにはよく知られていて、ペットポトルやポリタンクを携行して水を汲みにきます。
  おりしも水汲みしている老夫婦に聞いたところ、深い山中なのに、軟水でお茶やコーヒー、料理にに使うと「もうやめられない」のだとか。彼らの見立てでは、ミネラル分が薄いのは、水脈が主に黒曜石など火成岩質中を通ているからではないか、ということでした。


▲接待下の清水。多くの人が水汲みに来る。


和田峠の山頂:標高1640メートル

山頂を降りると、休憩・食事処「農の駅」

ここで国道142号はビーナスラインと交差

紅葉の頃のビーナスライン

石畳舗装し直した小径

古い石畳は劣化・摩耗して滑る危険があった

この辺りの旧中山道のランドマーク
となっている、道脇のコナラの老木

平坦な草芝の道。歩くのが楽しい。

腐葉土が積み重なった「足にやさしい道」

長坂からのカラマツ林のなかの小径

長坂を過ぎると国道との合流地点が間近い

右手は、接待手前の常夜灯

慰霊碑脇の遺構 道か排水路か?

▼永代人馬施行所▲

 
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