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長野県長野市戸隠
  善光寺と戸隠顕光寺を結ぶ「戸隠古道」は、古代から人びとが寺院や神社参詣のために歩いていた深い山林のなかを往く杣道のうち、飯綱山登山道入り口の近くにある一の鳥居から奥社までの全長が約9.8キロのコースです。
  なかでも戸隠神社宝光社の拝殿脇から奥社までの古参道は「神道かんみち」と呼ばれています。今回は、宝光社から中社前集落までの約1.5キロメートルを歩きます。
  写真は、宝光社裏の杉林を抜けた場所。
宝光社から中社まで  

  神域としての戸隠高原を本格的に経験し楽しむためには、やはり深い森のなかを往く古参道散策にまさるものはないでしょう。。
  戸隠山生成の原因となった天岩戸の物語に登場する神だから、戸隠にはいかにもふさわしい神社だ。


▲神道の入り口。ここから森のなかを歩いて中社にいたり、さらに中社裏の小径を経て奥社参道に連絡する。

  下の写真は、中社までの道のりの中ほどにある杉のご神木。この大杉は枝を横向き四方発布に伸ばしている。周囲に日影がなければ杉は横に枝を広げる習性があるのだろうか。だとすると、まさに森のなかに立つ「孤高の杉」ということになり、神聖な存在感を放っている。


▲宝光社と中社のあいだの中ほどに立つ杉の神木

■森のなかの地味な神社■

◆高低差30メートルの石段◆


▲拝殿前の急勾配の石段

  県道36号(戸隠街道)の参道入り口から宝光社拝殿までは、5基の石段で、総計270段ものぼることになります。戸隠で最も樹高の高い杉と同じくらい、少なくとも30メートルは標高をかせぐことになります。
  ここは、戸隠山顕光寺宝光院の境内だったので参道脇には、かつての堂宇の遺構跡や祠群が数えきれないほどあります。それらを傍らに眺めながら、宝光社拝殿までのぼります。そして、拝殿の東脇に「神道」の入り口があって、標柱と御影石製の欄干が古参道の両脇を固めています。
  宝光社の石段参道で標高を30メートル以上も稼いでしまったので、中社までの神道はほとんど高低差がない、歩きやすい道です。そのうえに、落葉や木製チップが積み重なった路面は均して整備してあるので、舗装道路に比べて足にははるかに楽な道行きです。

◆宝光社の裏の森◆


▲杉林の地面は笹や草に覆われている

  歩き出して400〜500メートルは植林した杉林が雑木林帯に割り込んでいる森を歩くことになります。杉林の周囲は落葉広葉樹の樹林が取り囲んでいて、林相は杉林から混合林に転換しつつつあるようです。

  杉が多い樹林帯を過ぎると、人の手で切り開かれた低木帯・草地を挟んで、ミズナラやカエデ、タモなどの落葉広葉樹中心の樹林帯になります。


▲伏拝(ふしおがみ)の説明板

▲丁寧に手を入れてある参道

◆混合林のなかに立つ杉の神木◆


▲「小鳥の森遊歩道」の案内板

  この落葉広葉樹が中心の樹林のなか、中社までの道筋の中ほどに奇妙な老杉【このページ冒頭3番目の写真】が立っていて、その前に「伏拝」についての説明板が立てられています。
  この杉は幹回りから見たところ樹齢300年以上で、注連縄が巻かれています。そして、太い枝を横に4〜5メートルほども伸ばしていて、それがまた神々しさを醸しています。周囲に日照を奪う木が密集していないと、杉もこのように横枝を伸ばすのでしょうか。
  ところで、その傍らの説明板には、あらましこう書かれています――950年頃、阿智の祝部ほうりべ天表春命あめのうわはるのみことを奥の院に合祀したが、この神の御正体が「老若男女が参りやすいように、この地に社を建立せよ」と告げたため、宝光院を建立した、と。
  要するに、奥の院までは険路でしかも女人禁制だから、現在地に天表春命を伏拝する施設を設けたという宝光社の起源が説明されているようです。

  さて、この樹林帯を抜けると、中社前集落の西側に出ることになります。森は切り開かれていて周囲には耕作地が並んでいます。


▲豊富な水が流れる村内の用水路


宝光社参道石段の脇の祠群

宝光社拝殿の棟面を見ながら神道に入る

落葉広葉樹の樹林の奥に人が植林した杉林がある

水平で歩きやすい小径

杉林の端に陽射しが入り込んでいる

森にはところどころ低木帯や草地が割り込んいる

小径は ふたたび高木帯混合林に入っていく

起伏のある斜面を掘り込んで水平な道にしてある

スギ、ミズナラ、カエデ、ブナなどの混合林

堆積した落葉をや腐葉土を踏みながら楽しい森林浴

森が切れ中社前集落の西側に出た。正面はスキー場。

参道は耕作地を往く農道となった

集落のなかの小径

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