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長野県塩尻市平出
 
 
山裾の歴史公園

  比叡ノ山は、鳴雷山の尾根筋から北に張り出した丘陵のような低い山です。その東麓にある平出の泉の南、つまり比叡ノ山の南麓から大洞の山裾にかけての一帯は、森に囲まれた歴史遊歩公園になっています。
  平出の泉の堤は山間の丘陵にのぼっていく遊歩道に続いています。この丘陵は鳴雷山の尾根に続く緩やかな山腹斜面で、小径は尾根裾の小さな広場に出ます。そこには住民が育てた桜の並木があります。
  広場の西の端は尾根を切り崩したような断崖になっています。それが石灰の採掘場跡です。現在の広場も山裾の切り崩しや採掘で形成されたのかもしれません。
  その南側には山間を抜ける県道が走っていて、県道を渡ると博物館と歴史公園があります。


▲比叡ノ山裾の古墳時代の住居(第3号復元住居)

▲泉の隣にある石灰採掘跡

▲第1号古墳 なだらかな墳丘

■歴史を楽しむ山林の公園■

◆石灰採掘場跡◆


▲住民の手になる桜並木

  比叡ノ山は太古には浅い海で、カルシウムを代謝・蓄積する生物群が栄えていたのでしょう。その東麓から南麓には石灰質の堆積岩塊が集積していたようです。
  平出の住民は古くから比叡ノ山の麓に石灰岩塊があることを知っていたようです。江戸時代には石灰岩の採掘と焼成を地場産業化していて、人びとは明治時代まで石灰の採掘を続けたようです。
  酸性土壌が多い日本では、土壌改良の肥料として石灰粉末や消石灰は希少資源でしたから、昔からそこそこ高値で取引きされました。平出の住民の豊かさと文化水準の高さは、古くから石灰採掘・焼成・販売を地場産業化していたことに最大の理由があるような気がします。
  取引で収益を得るだけでなく、遠隔地との交易で広く各地の多様な情報や文化と接触・交流していたはずです。

◆博物館と歴史公園◆


▲博物館内の土器の展示

  さて、博物館には、縄文時代から近代初頭までの土器や什器などの生活用具が時代ごとに展示されています。博物館の背後の山裾に広がる森のなかには歴史公園があって、遊歩道をたどりながら、復元され古墳時代の住居や高床倉庫、古墳群などをめぐることができます。


▲歴史公園は山林のなか

▲遊歩道沿いにはヤマツツジが咲いている


泉から山裾にのぼる小径

石灰岩を掘り出した穴の跡

比叡ノ山の南麓を抜ける県道

豊富な史料を展示する平出博物館

道路を渡ると歴史公園

古墳時代の住居(第3号復元住居)

寄棟屋根から入母屋風への進化が見える

山林のなかの大きな高倉(高床式倉庫)

  1300年前(平安時代)の高床式倉庫で、豪族の保有だったそうです。桁行7.2メートル、梁間5.7メートルの大きな建物で、桁行の中央には棟持柱を備えた切妻屋根の下には板張りの壁が取り囲んでいる。

  歴史公園は尾根裾の山林のなかにあります。森のなかを遊歩道でめぐりながら、遺跡や復元建物などを見学することになります。
  博物館の西側の階段状の坂をのぼると、最初に古墳時代の復元住居(第3号)に行き着きます。
  この住居は縄文時代の住居と比べて、煙抜きを両端とする大棟(桁行構造)ができ上っていることと、出入り口回りを含めて茅葺屋根兼側面の形状が格段に美しくなっていることが大きな違いです。
  円錐状の寄棟ということになるのでしょうか。とはいえ、大棟両端の煙抜きの設置具合は将来の入母屋造りを連想させるまでに進化しています。
  その茂みの奥には、高倉と呼ばれる平安時代の大きな高床式倉庫が復元されています。
  さらに山林の奥に進むと、古墳群があります。墳丘は遊歩道の途中にあるものを含めて3基あって、第1号と第2号は隣接しています。そのうち第2号古墳には、石室に通じる開口部が露出しています。

  古墳群の東側の樹林のなかには、ここから5キロメートルほど北東の片岡北熊井という場所で発掘された菖蒲沢窯跡の登り窯が移設されています。そこは1200前の焼き物工房があったところで、窯跡からは、瓦塔が出土しているとか【写真下】。


▲瓦塔 平出博物館内に展示


高床を支える構造も進化している

山林のなかの遺跡を回る遊歩道

第1号古墳の墳丘が公園内で最大

第1号古墳の奥に第2号古墳

第2号古墳の石室への開口部

市内片岡北熊井から移設された1200年前の登り窯
 
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