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長野県塩尻市奈良井
 
  このトピックの目次
八幡宮、二百地蔵と専念寺
法然寺、大宝寺、庚申塚
神明宮、長泉寺、浄龍寺
鍵の手から鎮神社まで
水場、高札場など
小路めぐり
タウンウォッチング  

  ところで、街並み景観の不可欠のものとして、水場があります。木曾谷の水の豊富さをあらためて思います。そして、水場の近くには、街道に連絡し、あるいは横切る小路や路地があるのです。

神社や祠、水場、小路をめぐる

街歩きのガイド⇒●奈良井の街並み絵地図を見る

拝殿

鎮神社の拝殿。奥には本殿がある。

荒沢不動

鍵の手の辻の南側にある荒沢不動尊

若宮社

山腹にへばりつくように建っている若宮様

鎮神社石灯籠

鎮神社の石灯籠が見えてくると、街筋も終点。峠越えの道はここから始まる。
石段を登って、境内から街並みを振り返って眺めてみよう

■鍵の手から鎮神社まで■

  浄龍寺を出ると、鍵の手の辻に荒沢不動尊が見える。
  辻を右に曲がって街道を上っていくと、民芸会館を過ぎたところの右手に山に向かう小径がある。
  小径は若宮様まで続く。樹木におおわれた斜面に貼りつくように鳥居と社殿が建っている。
  街道に戻って上ると、鎮神社に行き着く。

鎮神社社殿

神社の本殿は、寛文4年(1664年)建立。今では覆い屋でおおわれていて、普段は見ることができない。
祭礼のときに公開される。

■水場、高札場など■

  鎮神社まで来たら、神社の境内で一休みするのもいいだろう。峠道を少し登ってみるのもいいだろう。
  神社のすぐ横には楢川歴史民俗資料館がある。ここには、江戸時代を中心に、人びとの生活や文化のありようを物語る民俗資料が収集・展示されている。
  資料館の前の草地には、近隣から集められた石碑が並んでいる。巡礼案内とか、旅の安全を祈願したり、無事に旅を終えたことへの感謝を表したものなどいろいろだ。

  さて、今度は神社から街道を下りながら、水場などを探しながら歩いてみよう。
  神社のすぐ下には、高札場と水場がある。
  高札場は、江戸時代の幕府や尾張藩からの街道交通に関する法令や各種の禁令などが掲示されていたという。   屋根を設けてその下にいくつもの高札を掲げ、周囲を柵で厳重に囲んである。いかにも権威の伝達手段めいている。
  高札の右手には、水場がある。
  街筋に大きな水場は6箇所あって、鎮神社のすぐ下、鍵の手の辻、消防詰所の隣、庚申塚の手前で保存地区選定の碑の横に1つずつ、そして下町に2つある。
  水場は、板葺きの屋根と4本の柱だけで壁のない小屋(あずまや)に覆われている。
  檜皮や杉皮、薄板を敷いた屋根には、大きな石を重石として置いてある。板葺き屋根には、安全のため、太い桟が横に渡してある。石がずれ落ちたりしないためにだろう。
  その下には、木製の家型や箱型の覆いがあて、その筒状の注ぎ口から清水が湧き出ている。山裾から引いてきた水で、水温は12℃くらいか。夏は冷たく感じ、冬には温味を感じる。おいしい水である。
  そのほかにも、山裾の道路や街道を横切る小路の奥まで歩いてみると、数多くの水場がある。木曾谷の水の豊かさを実感する。

鳥居と枡形

南側の道から神社を望む。鳥居の右手前に枡形の石垣が見える。

石碑群

歴史民俗資料館の前には、近隣の石碑が集められている。

神社下の水場

神社の下の水場と高札場。高札には雨除けの屋根がつけられている。

高札場

高札場。石垣の土台の上に建てられている。柵がめぐらされていて、いかめしい雰囲気がある。

鍵の手の水場

鎮神社からの道で。奥に見えるのが鍵の手の辻の水場。

消防団詰所

観光案内所の向かいの水場のすぐ近くにある消防分団詰所

中町水場

杉の森近くの水場。裏手には、松の巨樹の根元に庚申塚がある。

下町水場

下町の漆器店と喫茶房のあいだにある小さな水場

松の根元の庚申塚

ここで一休みして給水。その奥の庚申塚にお参りすると、ふと旅愁がよぎる。

枡形下の水場

街筋では一番下手の(駅に誓い)水場。季節の風物や花が添えられている。

■小路めぐり■

  街道から小路に入ると、なんだか「自分だけの旅」ができたような感懐をおぼえる。
  街道をひとめぐりするだけでも楽しいが、路地や小路の奥になにかを発見するのも、街歩きの一歩踏み込んだ楽しみ方だ。
  町家のつくりを知ることもできるし、日常生活の場として街が息づいているのを感じることもできる。
  街筋を横切る小径からは、町を囲む尾根や山岳風景を眺めることもできる。まさに木曾谷を感じる光景だ。
  神社、寺院めぐりするのもいいだろう。奈良井川に出たり、ふれあい広場や木曾の大橋をそぞろに歩き渡るのも、また面白い。
  線路の近くで、列車を見送るのもいい。南西に向かう列車が大きなカーブを描きながら上り、やがて森とトンネルのなかに消えていく。たとえばそんな光景が、旅の思い出を深める。

小路から見通す
小路側に妻面のつくり

上 町家の妻面が良く見える。
左 街道を横切る小路歩きも楽しい。
下 狭い小路の奥にも水場がある。

小路の奥