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文法と哲学

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2 文章の部分どうしの関係

  風がそよぎ、雲が流れる。

  この文は、A=「風がそよぐ。」とB=「雲が流れる。」という2つの文、つまり、《 2組の主語=述語の関係 》をつなげたものです。文脈上、つまり意味の関係上は、AとBとは対等並列の関係、同じ重みのものとして並んでいます。
  これを、「並列」ないし「並立」といいます。

  ここで、AとBをそれぞれ独立完結させたままにして、AとBとのあいだに「つなぎことば」=接続詞を挿入して、もとの文と同じ関係の文章にしてみましょう。

  風がそよぐ。[   ] 雲が流れる。

  [ ]に入る接続詞は、「そして」「また」です。例文に入れるには不適切ですが、同じ意味合いの「連結関係」を示す接続詞に、「および」「ならびに」があります。

  次の例にいきます。

  学生たちは駅に急いだが、電車には間に合わなかった。

  この文を2つに分けると、A=「学生たちは駅に急いだ。」とB=「電車には間に合わなかった。」になります。ただし、Bでは、「学生たちは」という主語は省略されていますので、記述上、述語だけの文です。変則的な文ですが、主語が何かはすぐに理解できるために、許される省略です。文法的には、省略された主語を意識しておきます。
  AとBとのあいだに入る接続詞は、「けれども」「しかし」「ところが」「だが」などです。AとBとの関係は、「対立」ないし「反対」という連結関係です。これを「逆接」と」いいます。
  *「ところが」を逆説ではなく、話題の転換と分類する文法書もあります。

  3つめの例にいきます。

  風が吹き、旗竿が揺れた。

  2つの文にすれば、A=「風が吹いた。」とB=「旗竿が揺れた。」となります。この2つを連結する接続詞は、「だから」「そのため」「ゆえに」などです。この関係を「順接」と呼び、文脈上は「当然の原因・結果」つまり「順当な因果関係」を表す関係です。同じ意味合いの接続詞には、「したがって」「それゆえ」などがあります。
  ところが、この反対向きの連結関係を示すものもあります。

  旗竿が揺れた。[なぜなら]、風が吹いたからだ。

  ここでは、「なぜなら」という接続詞が使われています。これは、前に結果や結論を示す文があって、次にその原因や理由を説明する文がつながっていく関係です。これを、「原因提示」とか「理由説明」といいます。

  このほかのものも含めて、接続詞としては、
  さらに・しかも・そのうえ …(連結関係:追加、添加、累加)
  ところで・さて      …(    :話題の転換)
  それから・すると     …(    :前後、順次関係)
  つまり          …(    :要約、集約)
  たとえば         …(    :例示)
  なぜなら         …(    :原因提示、理由説明)

などがあります。ただし、「ところで」「つまり」「たとえば」については、辞典や文法書によっては、「副詞」として区分するものもあります。

  作文技術の練習としては、長い文や文章を、小さな文やブロックに切り分けて、そのあいだに以上のような接続詞を挿入するゲイムを楽しむことです。文脈における部品の間の連関・関係性を分析し、文章や文脈の組み立てを考察する訓練になります。
  これを使いこなすということは、自分が記述する文章、文脈が、どのような流れや組み立てで、展開し、動いていくのかをイメイジする力を身につけるということでもあります。文章の設計図や見取り図を描く技術を磨くということです。
  文章の構成を考えるということです。伝えたい内容まずを項目ないし箇条書きでどんどん書き出し、次にその順序・並べ方を考えて組み立てるというやり方です。

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