今回は瓜生峠の一里塚跡を出発点店として、旧中山道の道をたどって百沢集落まで歩きます。山中ですが、人里に隣り合った里山風景を楽しむ散策です。
  ただし、昭和期になって、現在の県道166号と国道142号の建設と農耕地開拓によって地形が大きく改造されたため、旧中山道の遺構がすっかり消失してしまった部分があります。


◆一里塚跡から百沢集落まで歩く◆



瓜生峠を降りると、旧街道と昭和前期の面影を残す百沢集落の家並み。この集落をめざして峠下りの街道跡をたどる。

▲晩秋の一里塚跡は広葉樹林のなか。ここまで尾根を開削してある。


▲一里塚跡の碑と案内板


▲一里塚の上から旧中山道の道筋を目で追う


▲一里塚跡から180メートルほど東の辺り。旧街道は急な曲りとなる。


▲カーヴの突端。この辺りで旧街道は谷底に下っていったはすだが・・・


▲国道142号との交差点: ここを南の横断すると中山道の遺構がある


▲旧街道はこの樹林を抜けていた。左端の道が県道166号のトンネル。


▲街道は、この県道を斜めに尾根下に進んでいたらしい


▲国道を渡ると林道になる。中山道遺構はこの先にある。


▲布施谷の集落に下る小径から振り返る


▲中山道の遺構と見られる農道: 小さな沢沿いの畦道のようだ


▲数軒の小さな集落の脇を往く旧街道


▲北側は臓器林や竹藪、南側は集落と畑作地


▲県道150号に出て振り返る。中山道の案内標柱がある。


▲県道から北東方向を望むと、浅間連峰が見える


▲南を向くと、布施峡谷の彼方に蓼科山と八ケ岳連峰


▲布施温泉入り口の交差点が百沢集落への入り口
 ここで国道142号と県道150号が合流する。交差点の向こう側が百沢で、中山道は上り坂には行かずに、すぐに右に折れて百沢集落のなかを進む。坂道をのぼると御牧原の台地高原にいたる。

  今回は、瓜生峠の一里塚跡から、県道166号と国道142号を越えて、里山道を歩きながら百沢集落をめざします。県道と国道をつくるための大規模な土木工事で地形がすっかり変わってしまったので、中山道の遺構を探りながら、往時の風景を想像してみましょう。
  尾根を深く切通して造った人工的な谷間は一里塚跡の辺りで終わります。視界が開けて一気に明るくなります。県道166号は、この旧街道のすぐ横を通っているのですが、望月トンネルとなっているので、ドライヴではこの辺りの地形を知ることはできません。


ケヤキやコナラ、クヌギなどが繁茂する

叢林の先には畑作地がある

◆失われた中山道跡を探して◆

  トンネルの出口から東側50メートルほどは、やはり山腹を切り崩し掘り下げて道路を建設したので、往時の地形は失われています。さらに国道建設で一帯の中山道の遺構はなくなってしまいました。
  一里塚跡から180メートル東に進むと山道は急カーヴとなります。そこから20メートルくらいの間で、往時は尾根の間の谷間に下る小径があったはずなのですが、県道と国道の建設工事で地形もすっかり変わっていて、探ることができません。そこで、谷を回り込んで下る舗装道路を辿って国道との合流点まで進み、その辺りで旧街道の道筋を探ることにしましょう。

  林道と国道との交差点から西に歩いて、県道をトンネルの手前まで行って、ありし日の中山道の道筋を想像することにします。
  望月トンネルの20~30メートル手前まで来ると、旧中山道の急カーヴの下になります。旧街道と県道との距離はわずか20メートルくらいです。右手には運送会社の建物が見えます。その上の丘を旧街道はのぼっていったと見られます。
  瓜生峠を下ってきた旅人は、東に向かって県道を斜めに横切るコース(旧中山道の道筋)で、向かいの尾根下まで進んだものと考えられます。今は、尾根下にある国道と県道との合流部に小さな広場が設けられていて、石灯籠や道祖神などの石塔・石柱が並んで中山道と望月宿を案内する場となっています。旧中山道は、その近くを抜けて、今は国道の南脇にある民家の敷地となっている地点を通って、布施川が刻んだ峡谷に降りていったものと見られます。
  近隣の人びとは、この峡谷を布施谷と呼んでいます。布施谷を南下して佐久市臼田や蓼科スカイライン方面に向かう道が、県道150号です。道沿いに、なつかしい日本の豊かな農村風景が続いています。


県道と国道の合流部。中山道はここを通ったか。

家屋は旧街道跡に建てられたようだ

  旧中山道の道筋を探りながら、ようやく国道と峠下りの道との交差点まで戻ってきました。国道を南に渡ると、牧布施の集落に連絡する小径(舗装道路)が谷を下っていきます。この小径を30メートルほど下っていくと、左傍ら(東側)に草に覆われた旧中山道の遺構が見つかります。ここで左折します。
  旧中山道は、布施川の支流となっている沢に沿って往く畦道のような細道です。沢は農業用水となっていて、以前は、下流に水田地帯がありました。
  左折しないで下り坂の舗装した小径を進むと、布施谷の集落(牧布施)に行き着き、集落を抜けると国道150号に出合います。交差点で左折して国道を北に進むと、ふたたび旧中山道に合流します。

  さて、沢沿いの中山道は、丈の高い草藪のなかを抜ける細道ですから、山野歩きの服装で歩きましょう。やがて住宅の近くに出ます、細道の左側(北側)は雑木林や竹藪で、反対側が畑作地と集落です。以前は、沢の水を利用した水田もありました。


丈の高い草藪を抜けて往く楽しい野道

竹藪が旧街道に覆いかぶさっている

藪のような樹林の向こうは県道との合流部

◆山中の道から布施谷へ◆

  私はこんな野道が好きです。とはいえ、こんな野趣に溢れた小径はわずかに170メートルほど続くだけで、まもなく県道150号に出てしまいます。浅科方面からやって来た国道150号は、ここから布施川に沿って南進する佐久地方の幹線道路で、臼田や蓼科高原、八ケ岳方面に連絡します。旅情を誘う懐かしく美しい風景と出会う道です。
  でも私たちは、旧中山道をたどる旅をしています――中山道の懐かしく美しい景観を求めて。北東に道をとります。
  県道と旧中山道との分岐点には中山道を案内する道標(標柱)が立られています。樹々の枝葉が覆いかぶさる野道とお別れです。


この先右手壇上に一里塚跡がある

  旧街道と県道との合流点は布施谷の入り口で、布施川が形成した峡谷が南に続いていきます。私たちは、山中(山林)の道から突然、開けた盆地地形のなかに出てきました。北東には烏帽子岳から高峰高原、黒斑山、浅間山へと続く高原が眺められます。反対を向くと、蓼科山と八ケ岳の峰々を遠望できます。
  布施川は、浅間連峰の下へと向かう千曲川に合流すべく、東に流れの向きを変えていきます。反対方向を眺めると、蓼科山の裾に向かって布瀬川の流路が続き、水面がまぶしく白銀に輝いています。望月の牧の麓の布施谷にあるということで、この辺り(布施谷の入り口)を牧布施と呼ぶのだそうです。
  さて、国道142号と県道150号との合流部まで歩き、交差点を渡って目的地、百沢集落をめざしましょう。

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