◆諏訪湖と富士山 湖上に浮かぶ富士の山影◆

  写真右手の梢のすぐ左に富士山山頂部と北側の稜線の影がかすかに見える。これは、国道20号で塩尻峠(塩嶺)を南西に下る地点で撮影した。
  この日は気圧配置が冬型で風がなく、薄曇りの天候だった。寒気が襲来したため、空気が乾燥していたので、薄曇りの条件でも偶然、奇跡的に撮影できた。富士山が見えるのは空中の埃が少なくなるような夏の雨上がり、あるいは冬晴れの快晴という気象条件かだという。1年に何日もないらしい。
  小さなデジタルカメラでこの画質だとすると、一眼レフ望遠レンズで撮ればかなり鮮明な絵になるだろうと思う。
  撮影場所は焼き肉店の近く。グーグルマップを下に掲載する。
  この辺りの撮影ポイントでは、下りの峠道を飛ばしてくるクルマが多いので、くれぐれも交通安全に注意してほしい。

  和田峠への往還となる旧中山道沿いでも諏訪湖越しに富士山を展望できるポイントがいくつかある。そのひとつが、諏訪大社下社春宮の東側を下る旧中山道の坂道だ。慈雲寺界隈からの国道142号沿いの高台からも富士山を展望できる。
  諏訪大社ができた古代には諏訪湖は今よりもずっと広く、春宮の参道大鳥居よりも高い位置まで湖岸が来ていたらしい。湖の南側では、諏訪大社上社本宮の間際まで湖面がおよんでいたという。
  すると、この参道や下社春宮から見ると、上社本宮や前宮のやや東側に富士山の影が浮かび上がる。そして、下社秋宮の鎮守の森のすぐ右上に富士山の姿がある。しかも真冬には春宮のすぐ前から上社まで凍結した湖面上に御神渡りが走ったはずで、その先には富士の山頂が浮かび上がっていただろう。
  そういう光景を想像すると、なぜ諏訪湖畔のこれらの場所に諏訪大社の各宮が造営されたのかという問いの答えは明らかだろう。
  本州のなかで、これほどの神々しい絶景はめったにないだろう。



山並みに挟まれた谷間の左に富士山が見える。富士山の左下のこんもりした樹林は諏訪大社下社秋宮の鎮守の森。