桝 形 の 説 明
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  一番簡単な「桝形ますがた」を例にとって、その仕組みを説明します。

  図のように、敵対する勢力によって簡単に突き崩されないように、周囲を石垣で堅固に囲んだ土塁を築きます。
  形と配置は、鍵の形の土塁を《 「  」 》というような形で向き合わせます。その周りに、土手や築地塀ついじべいとか通常の街並み、家屋などを建設します。
  こうすると、街道をやってきた行列は、2回直角に曲がらないと宿場の街に入ることができません。
  軍隊であれば、幅の狭い街道で2回も曲がるためにかなり時間を費やすことになります。

  これを、主要街道のすべての主要な宿駅に構築すると、全体としてものすごく時間を空費することになります。
  こうして、時間を稼げば、幕府側は十分な応戦体制を整えることができます。
  江戸幕府は主要街道の宿駅の街に、宿場の出入口や要所に桝形を造営するように命じました。必要な場合には、建造の知識や技術を指導し、建造費用も補助しました。

最も単純な桝形の構造

近世城郭の桝形虎口

画像資料の出典:小学館『ビジュアル・ワイド 日本名城百選』2012年
  進路を直角に曲げるためには、必ずしも《 「  》型の石垣土塁でなければならないというわけではない。
  石垣が《 - 》の形でも、直進を妨げる物体があればいいのだ。
  山の斜面とか堅固な家屋などでもよい。要するに、直進させない自然物や構築物があればいいのだ。

  桝形は本来、城郭や砦などの軍事施設に付随する建造物だったようだ。ほとんどの城には、桝形虎口ますがたこぐち(小口)といって、本丸や主要なくるわの出入口に城郭の石垣や土塁、堅牢な建物を《 「 」 》の形に配置して、その上に矢倉を設置し、敵軍の城内への侵入を妨げ、上から弓矢や鉄砲を射かける防御陣を構築した。
  城下町にT字路直角に何度か曲がる道筋をつくったのも、敵軍の進行を妨げる防御システムを城郭の直下の市街地に設けるためだった。