阿寺上空から撮影した大桑村と木曾駒ケ岳

―野尻宿近辺の木曾谷と中山道の地形―

  上掲の写真は、『大桑村誌』上巻の口絵からの引用です。撮影は1979年秋と記載されています。阿寺の上空から空撮したものです。
  野尻は、都市集落としては鎌倉時代に城下町の縁辺部として開かれたようです。そして、古代から都と東国を結ぶ官道は開削されていたそうです。したがって、寺院や神社は天台や真言よりも以前からの密教修験の場として礎が形成されていたと見られます。
  この一帯は、木曾川が蛇行しながら削り出した深い谷間に二反田川や伊奈川が流れ込み、衆院の山岳を浸食し運搬した膨大な土砂を堆積させたことで、木曾谷としては大きな複合扇状地が形成された地形です。したがって、ここには木曾川沿いに傾斜が比較的に緩い斜面、河岸段丘やや平坦地ができたため、古くから農耕地と集落が開かれたのです。

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