◆サイト運営者に関する情報◆

サイトの制作と運営についての想い

  私は2017年6月現在、62歳の「田舎おやじ」です。
  そして、このサイトは昔懐かしい景観を保存・復元しながら街づくりを進めていこうと努力している街や団体を、私なりのやり方で「勝手に」応援するサイトです。「オフィス・タウンウォーク」を名乗ってはいますが、田舎おやじがひとりで取材やデザイン編集をおこなう零細な活動です。
  ウェブサイト開設のきっかけとなったのは2つの出来事でした。ひとつは「東日本大震災」で、もうひとつは、老父の認知症と老衰が一気に進んだため、介護のために会社勤めを辞めざるを得なくなったことです。この2つの状況は半年ほど時期をずらせ、相次いでやってきました。それから6年たった今、すでに老父は死去し、今度は認知症の母を介護しながら、傍らでウェブデザインをしています。

■大震災と懐かしい街並みへの哀惜■
  さて、2011年の春、震災から50日ほど経ってから、私はふと木曾路を旅してみようと思い立って奈良井宿を訪れました。
  そこには、このサイトの記事にあるように昔懐かしい木曾路宿駅の美しい街並みがありました。私の心は「なんて美しい街の姿なのだろう」と深く揺さぶられました。
  震災は揺れに加えて大きな津波で、東北の海岸地方の人びとの暮らしの営みの場としての「街並み」を無残に破壊してしまいました。それとの対比で、江戸時代からの旧街道沿いの街並みがそこに残されていることが、とてつもなく「かけがえのない」存在なのだという感慨を抱いたのです。
  そのとき私は、震災直後の岩手県から奈良井に来訪した夫婦と出会いました。蕎麦屋でいっしょに食事をしながら彼らの話を聞くなかで、奈良井の古い街並みの風景が震災で打ちのめされた人びとの心の癒しになることに気がつきました。私自身もすごく癒されました。

  ところで、日本の古くからの街並みがこれほどの規模で残されていることはきわめてまれで、いわば奇跡のようなものです。ところが、すでにほとんどの歴史的景観、昔懐かしい街の姿は日本のいたるところから消え去ってしまっています。
  そして、無数の大きな活断層が縦横に走っている信州では、地震や火山活動が頻繁に起きるところで、奈良井などに残された街並み景観はいつ消滅してしまうかわかりません。
  そこで私は、そういう伝統的な「和の美」を備えた街並みや自然景観を記録しておこうと思い立って、取材――写真撮影や人びとからの聞き取り――を始めました。
  奈良井宿や妻籠宿の住民たちは、高度経済成長の荒波に抗して古くからの街並景観の保全に努力を続けてきました。その街づくりの努力や考え方を、今現存している街の佇まいから読み取り記録しようとしたのです。
  一方で、信州には高齢化や人口減少のなかで消え去ろうとしている街姿がいたるところにあります。そういう「消え去りゆく」街並みの姿を記録することも必要だろうとも考えました。

■ウェブサイトの立ち上げ■
  それから半年ほどして脳出血の後に認知症が発症していた老父の病状が一気に悪化したため、会社勤めを辞めることになりました。それをきっかけに、介護による精神的な鬱屈から自分らしさを保つため、ウェブサイトの企画・デザイン編集を始めることにしました。
  このサイトは、誰かほかの人たちから見てもらうものというよりも、自らのために企画・デザイン編集したものです。
  私自身が「街歩き」の楽しさ、タウンウォッチングの面白さを発見していこうという試みなのです。
  私はかつて雑誌などの企画、取材・デザイン編集を専門の仕事にしていた時期があります。だから、いささか時代遅れでかなり古びてはいますが、取材や写真撮影、記事作成とデザイン・編集のノウハウを持っています。
  そこでHTML――CSSのプログラミングも含めて――のプログラム書法を学びながら、このサイトを企画制作する作業が始まりました。サイトの最初の公開は2012年の春でした。

■信州の街づくりの応援サイトとして■
  さて、奈良井宿の街あるきサイトに続いて、木曾路の妻籠宿や馬籠宿の取材に取りかかりました。旧中山道・木曾路沿いには、昔懐かしい街並み景観が数多く残されていることが理由です。
  その後、サイトの運営や企画についてどのように進もうか悩みながら、塩田平・別所温泉など、古い寺院や神社が残る場所を訪ねて取材して回りました。信州には、古い寺院や神社、家屋や城郭などが残された場所が数多くあることに気がつきました。そういう景観の保存や修復に努力してきた人びとがいることにも。

  一方、小布施町の郷土史研究家で街づくり活動を担っている知り合いから、小布施の歴史と地理、文化を紹介するウェブサイトを立ち上げてほしいというを要望を受けて、取材を重ねることにもなりました。小布施町を探訪・取材してみると、奈良井と同じように何十年も街づくりのために地道な努力を積み重ねてきたことがわかりました。
  そこでは、伝統的な「和の美」を備えた街並み景観を新たにつくり出してきたのです。というわけで、街並み景観づくりをめぐる状況は街ごとにさまざまで、多様な方法があることも知りました。

  こういう経験のなかから、このサイトを街並み景観づくりないし街づくりを勝手に応援するサイトしてつくり上げていこうというコンセプトが固まりました。私が探訪して取材した場所に、多くの人たちにも訪れてほしい、そうすれば、その街が元気になるかもしれないと願うしだいです。
  とはいえ、老母を介護しながらわずかな時間を見つけての取材と編集ですから、サイトづくりの進捗はじつに微々たる速度です。

制作者の氏名と略歴

  氏名 山越 建一
  1955年 長野市生まれ
  中央大学法学部卒業
  早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学
  出版社などに勤務、編集者・記者、翻訳などの職務を経験
  記者=ライターとしての専門分野は、世界経済と国際金融、企業財務など
  現在は、ウェブデザインをしながら長野の田舎暮らし。

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