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サイト設営の目的

  このサイトでは、日本スキー連盟SAJのスキー教程・教則にもとづきながら、訓練のポイントやコツなどについては私自身の経験に即して、スキー上達のための練習方法を紹介します。したがって、内容に関する責任はすべて私にあります。

  ここでは、スキーを装着して雪上を安全に歩けるようになったレヴェルから、プルークボーゲンによる緩斜面のターンを学ぶところから始めて、コブ急斜面での小回り連続ターン――1秒間に2回以上ターンする――ができるようになるレヴェルに上達することを目標とします。
  このサイトの記事は、SAJ の教程・教則に沿ったDVDなどの動画・映像でまず学習することを前提にしています。そういう映像を何度も見てください。ときは再生速度を遅くしてスロウモウションで。その理想的な動きをわがものとするために何が必要か、ポイントは何か、コツは何かを助言するのがこの記事の目的です。

  私は、主に野沢温泉スキー場をホームベイスにして、オフピステでのウェーデルンを専門にしてきましたが、年齢は60代半ばになろうとしています。近年、カーヴィングスキーの発達普及にともなって、しかるべく小回りターンの技法・身体能力を駆使できるスキーヤー(指導員を含む)がめっきり少なくなってしまいました。スキー用具の性能に頼り切ってしまって、俊敏な回旋操作をおこなう技術や指導法が急速に廃れてきています。
  そういう状況に深く危機感を感じたことから、私が習得してきた技術や練習補法をより若い人たちに継承してもらいたい、そういう願望にもとづいて、この記事を企画・編集することにしました。

  基礎から一歩一歩段階的に訓練すれば、急斜面(斜度30°以上)の斜面で1秒間に2~3回ターンするウェーデルンをできるようになるのは、それほど困難なことではありません。また、そこまで達しなくても、以下で紹介する練習を積めば、SAJの1級取得は可能です。
  高速で俊敏なスキー滑走の技能は、「カッコいい滑り」のためではなく、危険を予測・回避する判断力や身体能力を養い、雪面状態や他社の動きに対応してより安全で的確なスキーを楽しむための必要条件です。
  ここでは、《雪上の物理学の法則》への理解を土台としながら、どのような動き・操作が、なぜ、いかにして必要なのか、そのためには、どのような訓練が必要となるのか、を順を追って段階的に解説していきます。

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目  次 (カリキュラム)

1 スキーはなぜ回旋するのか
2 プルーク姿勢ボーゲンによるターンの練習
プルークボーゲンの基本静止姿勢
プルークの直滑降
緩斜面でのプルークボーゲンのターン
3 ステップ動作による雪面の移動
平行ステップ歩行
前開きステップ歩行(スケイティング・ステップ)
サイドステップでの斜面移動
4 プルークのウェーデルン
5 シュテムシュヴング(シュテムターン)
横滑りとギルランデ(斜滑降)
シュテムギルランデの練習
6 パラレルシュヴング(パラレルターン)
外向傾姿勢
踏込みステップ
両スキーを平行にそろえる理由
横滑りとギルランデ(斜滑降)
急斜面での高速パラレルターン
7 ウェーデルン(小回りターン)
踏み換え交互操作のウェーデルン
両スキー同時操作のウェーデルン

 

8 ステップターン
スケイティングステップ
能動的な乗り込みでステップターン
9 ベンディングターン
スキー板のベンド
ベンディングを利用したターン
かがみ込み・中腰ウェーデルン
10 そのほかの高度な技術
コース変えのための横ずらし
内スキーの外側エッジ加圧のターン
11 コブ斜面でのパラレルターンの基礎
コブ斜面での屈伸滑走
コブ斜面でのパラレルターン
12 コブ斜面でのウェーデルン
コブ斜面での小回りターン
ダブルストックで姿勢安定を回復する
13 新雪斜面の滑り方
軽くて柔らかい新雪面で浮かせる
 
 
 
 

1 スキーはなぜ回旋ターンするのか

エッジングによる摩擦でスキー板が回旋する










ターンの内側のスキーと
外側のスキー


基本は、
外側スキーのインサイドエッジへの加圧

内側のスキーは支え






  ところが、このように片側スキーの一部分に加圧するということと、斜面を旋回しながら滑り降りるという運動は、静止状態の安定性を大きく崩す結果を招きます。身体が揺れたり、転倒してしまったりする危険があります。
  このような危険を防ぐように、スキーでの板の操作と身体姿勢の変移をおこなう必要があります。スキーの姿勢の型や滑り方の練習はそのためのものです。

  傾斜のある雪面でスキー板がなぜ旋回するのかを説明します。左側のイラストを見ながら、解説を読んでください。

  まずスキー板が1本の場合で考えてみます。スノーボードで滑る場合と同じです。
  板は最大傾斜線に沿って重力の作用で雪面を滑り降りていきますが、仮に板の右側のエッジに加圧したとします。
  すると、右側には制動がかかって、滑る速度は抑えられますが、左側には制度がかからず、速度は抑えられず、むしろ重力加速度を受けて滑る速度は上昇していくでしょう。
  そうなると、左側が加速し、右側がブレーキしますから、スキー板は右に旋回することになります。この場合、右側をターンの内側、左側をターンの外側と呼ぶことにします。

  ということは、スキーヤーはターンしたい方向の側のエッジに加圧すれば、望み通りにターンできるということになります。

  さて、では2本のスキー板を装着して雪面を滑りターンする場合について見てみましょう。
  スキーでは、雪上での歩行移動などの運動性と安定性を保つために、2本のスキーを装着して左右のバランスを保つようにしています。
  そして、原則としては、片側の板をターン方向を制御するために用い、他方を安定性を保つための支えとして用いることになります。

  左図では、右にターンするために、ターンの外側(つまり左側)の板のインサイドエッジに加圧し、他方で内側のスキーはバランスを保つための支えとして、板全体に均等に加圧するという原理を示しています。

2 プルークボーゲンによるターンの練習 Pflugbogen

スキーの練習では、自分の姿勢や動きを真上から、前から、横から、後ろから眺めると、どうなっているかを意識・イメイジすることが大変に重要です。

一緒に練習する仲間がいるのなら、自分の滑りを画像に撮影してもらって検証すると、修正すべき点が明確につかめることも多いです。

できるだけ足にフィットしたブーツを選ぶ。緩めの靴を履く人は上達しません。
靴を履きならしながら、隙間の有無を調べる。
足幅の大小や甲の高低による隙間はインナーブーツへのパッド(詰め物貼り込み)で塞ぐ。
パッドなどの調整用品はスキー用具店で売っている。
靴が緩いと、足の力が板にしっかり伝わらない。
  プルークボーゲン Pflugbogen とはドイツ語で「犂で波形を描くこと」という意味です。つまり、両スキーでV字型をつくって雪面を滑り降りながら波形にターンしていく、という技術です。

  実際に滑って練習する前に、スキー靴のはき方と靴への力のかけ方を説明しておきます。
  まず靴は足のサイズにぴったりと合わせて選んでください。靴のなかに緩みがあると、力が靴やスキー板にしっかり伝わりません。
  スキー靴を装着するときには、身体を前に倒すか、膝を思い切り前に出して、向こう脛に全体重をかけるつもりで、踵の後ろに隙間がないようにしてください。
  雪斜面を滑るときには、つねにスキー板のバランス中心に重心を置いておくようにするのですが、そのためには、膝の向こう脛で靴を抑え込むような気持で、向こう脛にすべての体重をかけるようにします。そして、足の母指球から土踏まずを結ぶ線に加圧します。
  ふくらはぎ側(後ろ側)に体重がかかっていると、雪上で身体が不安定になり、しかもスキーのエッジに加重できなくなります。
  つまり、エッジングが甘くなり、ターン弧の正確さ(切れ味が)なくなります。
  V字開きのプルークボーゲンは、このあとの技術の習得にために非常に重要なものです。甘く見ないようにしてください。これが不十分だと、このあとの本当の上達はありえません!

  両スキーを平行に狭くそろえるのが上手な形という思い込みはまったくの誤りです。
  いやになるほどプルークボーゲンを練習して、習熟すると、パレレルターンやウェーデルンの習得は数時間で済みます。しかし、プルークボーゲンができないと、何年続けても上達しません。
 

  斜面で両スキーのインサイドエッジへの加圧を弱めて雪面を押す力を小さくすると、摩擦による制動がなくなるので、斜面の下に向かって滑り出します。
  そして、ふたたびエッジへの加圧を強めると、雪面との摩擦で速度は抑えられ、やがて静止します。

  膝を伸ばしたままではブーツやスキー板に力だ伝わらず、制動やターンのためのエッジングができなくなるので、膝を深く折り曲げて前に突き出す姿勢を取ることに意識を集中すること。

プルークボーゲンの基本静止姿勢

  左図を見てください。最初に傾斜のない平らな雪面でプルークボーゲンの静止姿勢を取ります。
  まず両スキー板の先端トップを閉じて後尾テイルを開き、V字型にします。
  次にストックを持つ両手の拳のあいだを、肩幅の2倍ほどの幅(70~80センチメートル)に開きます。そして、膝を前に押し出しながら腰を落とし、上体を少し前に傾けます。
  さらに、両膝を内側に捻り、両スキーの内側インサイドエッジがより深く雪面にめり込むようにします。このとき、ブーツのなかでは、土踏まずと親指を結ぶ線に加重し、加圧の中心は親指の付け根辺りに置きます。

  両スキーのインサイドエッジが雪面に食い込むことで、スキー板を固定し姿勢の安定性を保つようにします。

プルークの直滑降

  斜度がない雪面でこの基本姿勢を取ることに慣れたら、今度はごく緩やかな斜面に出て、両スキーのインサイドエッジへの加圧を弱めて坂の真下に向かってまっすぐに滑り降りてみましょう。
  5~10メートルほど滑ったら、今度は両スキーのインサイドエッジへの加圧を強めて速度を落としていき、完全に静止するようにしましょう。この運動を何度か繰り返して、プルークの直滑降に慣れましょう。



  初級者が斜面を滑り降りる場合に陥りやすい状況(弱点)は、膝が伸びたままで突っ立った姿勢になること、そして、滑っていくスキーに膝や腰、上体(胸・肩)が遅れてしまうことです。
  これを防ぐために、ブーツの向こう脛に体重のすべてを預けて膝を深く曲げて前に突き出すという意識を強く持つこと。膝が出れば自然に腰も前に動きます。最初は肩や上体については気にしないでもいいでしょう。

  ただし、動作・操作に慣れてきたら、顔と肩で滑り全体を先導するつもりの意識になるようにします。そうすると、次のターンに意識が向くので、顔と肩はあまり回らなくなります。




  左右にターンする動作(波形や弧を描くこと)をシュヴング Schwung と呼びます。ドイツ語ですが、英語の swing に当たる言葉で、スキー用語としては「ターン」を意味します。

日本にはドイツ語圏から(オーストリアの軍人)スキーを技術が伝えられたので、スキーの滑走技術の名前はドイツ語で表記されるようになりました。スキーはもともと陸軍山岳部隊や局地部隊が雪山や雪原を移動する手段として生まれ開発されたのです。現在では、たとえばターンのように英語由来の用語表記が増えています。

緩斜面でのプルークボーゲンのターン

  初級者のプルークボーゲンの練習は、斜度10°くらいの整地された雪面でおこないます。
  緩斜面でプルークボーゲンの静止姿勢を取るためには、両スキーのインサイドエッジをより深く雪面に突き立てる(押し込む)ようにします。エッジの食い込みが甘いと、ズルズル滑り出してしまいます。

  滑り出すためには、このエッジングの加圧を緩めます。ある程度加速してからでないと、ターン動作ができません。滑り出しは斜めの方がいいでしょう。
  斜めに滑り出してから、ターン動作に入ります。そのターン弧の外側になるスキーのインサイドエッジに加圧します。
  まず左ターンに入るためには、右スキーのインサイドエッジに加圧します。右ひざを内側に回し込みながら、右足の内側、つまり母指球から土踏まずにかけての部分に強く加圧します。
  このとき、左スキーでは、足裏全体に荷重しながらも軽くインサイドエッジに加圧して、バランスを保つ支えとすることで安定を保つようにします。

  このとき、肩はあまり回さないようにすることがポイントです。肩や腰を回してターンに持っていくのではなく、肩や腰はあまり回さずに、腰から下、とくに膝の回し込みと足裏での加圧によってターンを導くようにします。
  その場合のターンの横幅(振幅)は、最初のうちは10メートルくらいにします。そして、振り幅を広くしたり狭くしたりしながら、さまざまな弧の大きさのターンを試してみましょう。

  この場合、重心は腰の中心辺りにあるのですが、それをスキーの中心に置いたままで移動させません。重心の位置は変えずに、左右スキーエッジへの加圧の交互に変えることで、ターンをおこないます。

  そのさい肩を大きく回すと、次のターンに入る前に肩を戻さなければならなくなって、そうしているあいだにスキーは滑り続け、加速してしまいます。つまり、次のターン動作への切換え動作が遅れてしまううえに、加速して不安定になります。
  重心を移したりすると、これまた重心位置を戻すために時間を取ることになり、加速しすぎたり、不安定になったりしてしまうのです。
  肩と顔の向きは、ターンの後半では次のターン弧の中心を見つめるようにして、次のターン動作への準備姿勢を取ることになります。
  肩は回さず、重心も移さず、ターンは膝の回し込みとエッジングの切換えで! というのが鉄則です。

  初学初級者は、スピードにあまり慣れていないので、ターン時のエッジングで速度がかなり落ちてから反対向きの次のターン動作に入るのがよいでしょう。しかし、速度・推進力がまたく失われるとターン動作に入ることができません。
  プルークボーゲンのターンに習熟し慣れるにしたがって、ターンの切換えのタイミングを速くしていきましょう。
  そして、雪面の斜度を少しずつ上げていきましょう。
  普通は、滑走速度を高めると、横振れ幅(振幅)に対するターンの縦の長さ(周期・降下高低差)の比率が大きくなります。それだけ、重力加速度(斜面を滑り落ちる力)が大きくなるということです。
  こうしてみると、プルークボーゲンでは、同じ斜度の雪面で滑る場合、横振れ幅を大きくすると滑走速度は小さくなり、縦の長さを大きくすると速度は大きくなるという関係があるわけです。

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回旋運動でのさまざまな力のはたらき



  ところで、雪面でのターン運動では、身体とスキーにはさまざまな力がはたらいています。ここでは、とりあえず雪面の起伏や傾斜による上下の動きは度外視し、平面上の力の作用を考えます。
  重りをつけた紐を回して回転させるときと同じように、雪面での回旋運動でも向心力と遠心力の拮抗状態が生じます。

  遠心力は滑走速度が大きいほど、またターンが急になるほど、大きくなります。遠心力は身体をターン弧の外側へ振り飛ばそうとする力としてはたらきます。
  ということは、雪面でのターンにさいして、スキーヤーは雪面の起伏や斜度による体の揺れに耐えて抑えるだけでなく、遠心力にも耐えて視線を安定させなければなりません。

3 ステップ動作による雪面の移動

平行ステップ歩行








  

平行パラレルステップ歩行

  パラレル parallel とは、英語で「並行」という意味ですが、スキーでは両スキーを平行に開くことを意味します。

  斜度のない平滑な雪面で、両スキーを肩幅ほどに平行に開いてください。そして、左か右かどちらかのスキーを膝を軽く持ち上げて歩くように前に踏み出します。このとき、後方に残り軸となる足・スキーをしっかり踏みつけて推進力を生みだすとともに、踏み出す膝の動きに先行して両肩と頭、ストックと上体を前に押し出します。そして、これを繰り返して前方に移動します。
  肩や上体が脚とスキーの動きに遅れないように、むしろ先行するように意識します。ストックは慣れないうちは動かさなくてもいいでしょう。

  この動作を平行(パラレル)ステップ歩行と呼びます。
 

  スケイティング・ステップは、ウェーデルンやパラレルターンの高度な技術を学ぶためには不可欠です。
  方側スキーを踏み出した後に、肩と上体を踏み出したスキーと同じタイミングで前に動かしながら、スキーをそのまま滑らせてみましょう。そのさい、後ろに残したスキーを踏みつけて前方への勢いをつけます。
  こうして、ステイティングをしながら交互にステップして、より速くステップ歩行をおこなえるようにしましょう。

前開きステップ歩行
(スケイティング・ステップ)

  スキーのステップ歩行としては、ほかに前開きステップがあります。スケイトの加速のための踏み出しと脚・足の動きがよく似ているので、ステイティング・ステップともいいます。

  両スキーの先端(トップ)を「逆ハの字」型に開いて、左右交互に踏み出しながら前方に進みます。
  このとき、後ろに残る足・スキーを雪面に押し付けて、踏み出すスキーの前方への踏み出しに弾みをつけるようにします。そして、肩や上体を思い切り先行させて前に動かすようにします。ストックは横に大きく開いて、左右交互に、踏み出すスキーの反対側のストックを前方の外側に突きだすようにします。
  両ストックを持っての歩き(ノルディック・ウォーキング)でストックワークを覚えるのもいいでしょう。雪上でのステップ歩行が慣れないうちは、ストックの操作はなしにして歩幅を小さくして練習します。

  スケイティング・ステップは、パラレルターンやウェーデルンの応用動作としてのステップターンを学ぶときに、より深く再度訓練することになります。
   
  両ストックは姿勢を支えるアンカーのように使うこと。ただし、ストック(腕の力)頼りすぎるのは誤り。ストックなしでこの姿勢を保てるようにすること。

  斜面を登るためには、両スキーを平行に保ったまま、山側スキーを斜面の上側に移動しエッジを雪面に食い込ませ、そのスキーを軸として、下のスキーを上に引き上げてエッジを雪面に食い込ませます。
  両スキーの水平性を保たないと、下に向いた方が滑り出してしまいます。
  この動作を交互に繰り返して、斜面を登っていきます。

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サイドステップでの斜面移動

  ステップ歩行には、平地の移動方法だけでなく、斜面を移動する(登る・降る)方法もあります。
  そのひとつ目が、サイドステップです。文字通り、横へのスキーの踏み出しによる移動です。

  まず静止姿勢を保つために、両スキーの斜面上側(山側と呼ぶ)のエッジを強く雪面に食い込ませる。

  サイドステップの正しい基本姿勢を保つのはかなり高度な技です。
  左図のように、サイドステップでは、斜面の傾斜線に対して両スキーを直角の平行開きにして、肩と顔は真下近く、つまり真下方向を見る姿勢を取ります。上体を坂の真下に向け、お尻はできるだけ後ろ向きにして坂の上方に向けます。
  斜面を怖がって、お尻を斜面下側(谷側と呼ぶ)に向けてしまうと、バランスを崩して転倒したり、滑落してまいます。肩と顔を谷側真下に向ける、これがポイントです。

この技術をマスターすると、相当に急峻な斜面でも静止したり、登ったり、水平移動できます。

  斜面を登る歩行方法として、あまり斜度がない斜面では、前に習った前開きステップを使って、前向きに斜面を登ることができます。

4 プルークのウェーデルン Pflugkurzschwung





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  プルークボーゲンを十分に習熟したら、そこからただちにウェーデルン技術を学ぶことにします。プルークウェーデルンです。
  小回りターンは、ウェーデルンと呼びますが、これはドイツ語の Wedeln (ヴェーデルン:左右にひらひらと揺れるさまを意味する)を英語読みした言い方です。短いターンなので、ドイツ語で Kurzschwung と表記しますが、要するにショートターン short turn ということです。

  ごくごく単純化して言うと、プルークボーゲンのターンのタイミングをどんどん速くして、ターン弧の大きさを小さくし、滑走速度を速めていくと、プルークウェーデルンになります。
  V字開脚ターンを素早く繰り返すことができるようになる、これが目標です。

  ここでは、エッジへの加圧の切換え、つまりエッジングの切換えのタイミングをどんどん速くしていくこと、切換えの速さに対応した姿勢変化に慣れることがポイントです。
  比喩的なイメイジで表現すると、自転車のペダルを漕ぐ速さをどんどん速めていき、回転速度を大きくするということです。
  ウェーデルンらしくしてきうためには、プルークシュヴングの切換えのタイミングを、はじめは5秒ごとにターンというタイミングから始めて、3秒ごとのターン、2秒ごとのターンへと段階的に切換え速度を大きくしていきます。
  速度を高め回転のタイミングを速くしていくためには、V字に開脚した左右のスキーテイルの開き幅をどんどん狭くしていく必要があります。

  私の経験では、プルークでのウェーデルンは姿勢の変化が大きいので、2秒ごとに1回ターンまでいくと、もうそれ以上は速くならないと思います。より上級者から見ると、余計な動きが多くて時間がかかってしまうため、もうそれ以上に俊敏な交互回旋運動ができない限界にぶつかったのだことになります。
  それでも、2秒に1回のターンを繰り返すというのは、かなり上達したということで、立派にウェーデルンと呼ぶことができるでしょう。


  ここで、雪上の物理学の話題として理屈っぽく言うと、プルークはまだ速い滑走速度や斜度が大きな斜面に慣れていないレヴェルの滑り方です。V字型に開脚するのは、雪面への接地底面積を大きくして安定性を保つ方法です。
  安定性を保ちながら、左右スキーのインサイド・エッジへの加圧の切換えをおこなうのです。開脚した分だけ、雪面への摩擦抵抗が大きくなるのでです。

  慣れるにしたがって、スキー開脚の幅は狭くなっていき、ターンのタイミングも速くなっていきます。だから、どんどんスキー開脚幅を狭くして、やがて平行開き状態になれば、これはパラレル・ウェーデルンとなるので、もう中級者です。


  この記事で、プルークボーゲンからいきなりプルークウェーデルンに進んだのは、パラレル姿勢を保ちながらエッジングを切り換える動作をおこなう運動 Parallelschwung には、独特の難しさがともなうからです。
  難しいというのは、両右スキーの平行揃えのまま斜面で横滑りさせながら、バランスを保ちエッジングの切換えをおこないターンを繰り返すからです。また、片側スキーだけで重心とバランスを保つ技能が必要とされるからです。
  そこで私たちはまずプルーク姿勢での回旋の限界に挑でターン操作に慣れることを優先し、その次に、パラレルシュヴング、パラレルターンの訓練に進む必要があるのです。
  今後の訓練計画としては、次にパラレルターンへの準備段階としてシュテムシュヴングとギルランデを学び、その次には大きな弧のパラレルシュヴング Parallellangschwung (パラレルのロングターン)に進むことになります。
  シュテムターンは、プルークターンとパラレルターンの中間点にある技術ということになります。

5 シュテムシュヴング Stemmschwung (シュテムターン)

  それではシュテムターンに進みましょう。
  ドイツ語でシュテム Stemm とは、ここでは自転車の補助輪のような支えがある状態を意味します。この補助輪は、パラレルターンに進むための補助=支えとして、不安定になりがちなターンにさいしてプルーク姿勢(V字開脚)を取るという点です。

  まず斜度10~15°くらいの平滑整地斜面を選びます。
  最初は斜めに斜面を滑り出します、そしてターンを開始するために両スキーのトップを閉じたままテイルを開いていきます。左図で言うと、右ひざを回し込みながらインサイドエッジに加圧して左にターンしていきます。ターンが完了したら、ふたたび平行開きに両スキーを狭くしていきます。次に、これと反対向きの動作をおこないます。
  これを繰り返してターンを続ける技法をシュテムシュヴングと呼びます。

  ターンを開始するための片側スキーの開き出しの方法は2つあります。どちらもスキーのトップではなくテイルを外側に開き出します。
  一つ目は山開きシュテムターンというやり方で、山側(斜面上方)のスキーテイルを外側に押し出すように開き出します。このとき、インサイドエッジに加圧していきます。山側に開くので、山開きターンと呼びます。
  この方法では斜滑降からただちにターンを開始することになります。
  もうひとつは谷開きシュテムターンで、谷側(斜面下側)のスキーテイルを開き出します。開き出しながら、山側スキーのインサイドエッジに加圧していきます。ただし、通常はどうしても開き出したスキーに加圧されるので、いったんは山側に曲がってから逆y向きのターンが開始されるという形になります。

  このようにスキーの開き出し方法には2種類あるのですが、私は山開きシュテムターンだけできればいいと考えます。というのは、いずれ上達すれば、谷開きシュテムターンは自然に覚えていくからです。この段階で谷開きに挑んで混乱するのは、まったくの無駄です。

シュテムターンのシュプール

横滑りの基本静止姿勢





横滑りとギルランデ(斜滑降)

  シュテムシュブングでは斜滑降の姿勢制御と安定確保が大事な要素となります。横向きや斜め前方下へのズラシをおこなう技術を習得する必要があります。

  まず横滑りを練習します。
  斜度10~15°くらいの平滑整地斜面で左図のような姿勢を取ってください。ポイントは顔と肩は谷側を向く、斜面に両スキーのエッジを食い込ませて静止するということです。お尻を谷側に向けない! というのが鉄則です。
  まず、雪面に食い込ませたエッジを少しずつ緩めていきます。すると、真横=真下に素練り落ちていきます。そしてふたたびエッジを雪面に突き立てる(食い込ませる)と静止していきます。
  このとき、両膝を山側(斜面上側)に寄せて、上体を谷側に少し前傾する――必要ならストックを支えにする――ことが必要です。上体は谷側を向く、そのときに膝は山側に寄せる、これがポイントです。
  そして、《エッジを緩める⇒突き立てる⇒緩める⇒突き立てる》という動作を繰り返して、横滑りに慣れてください。


  真横=真下に滑り降りるのに慣れたら、斜滑降(ギルランデ)に進みます。ギルランデ Girlande とは、ドイツ語で斜面を斜めに横切ったり、その対角線上を降りていくという意味で、スキーでは「本来の斜滑降」を意味します。

  横滑りとの違いは、斜め前方にズレて行くという点です。ということは、真下に進む力に加えて、前に進むというヴェクトルがはたらくということです。
  斜め下に進むためには、スキートップを少しだけ下に向けて腰を斜め下に持っていくという意識が重要です。

  これが斜滑降ですが、その練習では、降っていく角度を深くしたり、浅くしたりと変えてみてください。力のかけ具合やらエッジングの加減やらをさまざまに試してください。


  次に、エッジを雪面に押し付けたままの斜滑降から横滑り(ズラシ)を入れた斜滑降へ、そしてふたたびエッジを突き立てたままの斜滑降、さらに横滑りを入れた斜滑降へ、という動作を繰り返してみてください。

























シュテムギルランデの練習

  では次にシュテムギルランデの練習に進みます。
  シュテムギルランデとは、雪斜面を対角線に沿って滑り降りる斜滑降のなかにシュテムターンを入れる滑降方法です。
  この段階で、谷開きシュテムターンの技術を習得します。

シュテムギルランデのシュプール

  まずパラレルの斜滑降でしばらく滑った後に、山開きのシュテムターンで真下に向けて回旋します。そして少し加速したら、今度は谷側スキーのインサイドエッジに加圧するシュテムターンで減速しながら横向きに回旋してふたたびパラレル斜滑降に戻します。
  右にギルランデしたら、こんどは向きを変えて、左にギルランデしてください。
  ここでのポイントはターンへの切換えを素早くおこなうために、開き出したスキーのインサイドエッジに強く加圧していくということです。
  自転車のペダルを漕いで回すようなイメイジで開き出し(踏み換え動作)を試みてみます。
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  浅い角度でのシュテムギルランデに慣れたら、斜度15~20°くらいのより斜度が大きな斜面に移って、より高速のシュテムギルランデ――2秒ごとにパラレルとシュテムターンを切り換えるように――試みてください。
  シュテムターンの開き出しをだんだん狭くして平行にしていけば、パラレルギルランデとなっていきます。

6 パラレルシュヴング Parallelschwung (パラレルターン)

パラレルギルランデのシュプール


ターンと外向傾姿勢

ターンのさいにはたらく様々な力







  雪斜面に描いた円弧に沿って重りが回転する振り子をイメイジして、さまざまな力のはたらき方を考えてみること。
  速度が大きくなり、斜面が急になるほど、身体の軸は内傾していくことになる。
  ただし、原則として急斜面になると、振り子の糸よりも上体の前傾は深くなる。

  このように、中心に向かう力と外側に向かう力が拮抗して生まれる回転や回旋運動を角運動と呼び、そのときの円周に沿った動きの大きさを角速度(角運動量)と呼ぶ。数学的には三角関数を用いた方程式になる。








  上図では、スキーの持ち上げ方を誇張してあるが、「こんな意識で」ということ。

  パラレルターンは滑走速度を変えたり、ターン弧の大きさ(ターンの周期)をあれこれ変えて練習します。エッジングのこれくらいの強さだと、これくらいのターンになるというように、滑走の舵取りの感覚と技能を習得してください。

  ところで、かなり前のJAJの教程・教則本(スキー学校での指導)では、エッジングの切換え(ターン舵取りの切換え)のときに「荷重⇒抜重⇒荷重」という教え方がありましたが、これは今では誤りとされています。ご注意ください。



  上図のシュプールでターン弧が三日月形になるのは、回旋には横ずらし運動がともなっていることを意味する。この三日月形が途中で途切れないようになればOK。

急斜面・高速でのパラレルターンの技法

  近年では、カーヴィングスキーの性能に依存しすぎる滑りのスキーヤーの比率が圧倒的に増えています――上級者にも多い。その分、危険性も高まっているように感じています。
  また、これまで解説してきたポイントが、カーヴィングスキー板の加速性やエッジング強度が大きすぎて――自分が意図した以上に「持っていかれてしまう」と感じたら――、うまく習得・習熟できないと感じたら、可能ならばレンタルスキー店で古い型のスキー板を借りて試してみてください。
  そうすると、それまで、どれだけ板の性能に頼り切ってしまっていたかを体感できますし、また、カーヴィングスキーではうまく操作できなかった動作ができるようになったりすることがあるはずです。

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外向傾姿勢

  それではパラレルターンに進みましょう。
  パラレルとは平行という意味です。両スキーを平行開きまたは平行揃えにしてターンをおこなうことになります。ここではまず、両スキーを肩幅くらいの幅に平行に開くことから始めます。
  すでにシュテムギルランデを習得したので、シュテムギルランデからパラレルギルランデに移行するという練習方法を取りましょう。完全なターンよりも浅いターンをする方が容易だからです。

  シュテムターンでは、両スキーをV字型開きにすることで姿勢の安定を保ちましたが、パラレルでは平行開きで、接地面の幅をずっと狭くするために、より不安定になりやすいので、そこで姿勢の安定を保つ技能や体感が重要になります。そのための姿勢が外向傾なのです。外向傾姿勢が取れなければ、ここから先に進むことはできません。
  プルークボーゲンの練習のところで、ターンのさいにはたらく様々な力について触れましたが、それをもう一度おさらいします。
  ターンするためには、膝を前に突き出しながらターン弧の内側に回し込んで、外側スキーのインサイドエッジに加圧しますが、これによって弧の内側に動かそうとする力がはたらきます。同時に、雪斜面ですから最大傾斜線に沿って滑落しようとする、外側に向かう力もはたらきます。こうして、ターン弧上では、瞬間瞬間に弧の接線方向にスキーヤーが運動することになります。

  外向傾とは、膝を屈曲させながら、腰を前に落とし、上体をやや前傾させ(前傾しすぎてはいけない!)ながら、回旋弧のやや外側(斜面の下方)に肩と顔を向ける姿勢です。
  ターンのさいに肩を回していけない! 肩と顔は次のターン弧の中心を見つめろ! という鉄則は、このような諸力が作用する状況で姿勢を保つためのポイントです。
  外向傾という姿勢は、外傾姿勢と向傾姿勢という2つの運動姿勢の合成によってつくられる形です。外傾というのは、遠心力のはたらく方向に傾く姿勢です。向傾というのは、斜面を真下に向かって落下する力に耐えるために、やや前傾になる姿勢です。これには、膝を深く曲げて前に押し出す、腰と上体をそれに遅れないように前に押し出し先行動作するという動きがともないます。
  そして、膝を回転の内側方向に回し込んで、外スキーのインサイドエッジに加圧するという操作が、向心力を生み出します。
  顔と肩を次のターン弧の中心に向け続けるというのは、つねに雪面状況に対応しながら次のターンのために準備姿勢(先行動作)を取るために不可欠の動きです。

  これまでよりも不安定な状況でターンを繰り返していくためには、外向傾姿勢は欠かせません。あらゆる斜面状況で外向傾を保つ、これが上級者となるための最大のポイントです。

踏込みステップ

  結局のところ、次のターン弧の外側になるスキーのインサイドエッジに加圧することが、ターンの要です。これには内側への膝の回し込み屈曲がともないますが。平行開きの姿勢で、外スキーへの加重・加圧の切換えを俊敏に正確におこなうことがポイントです。

  そのための動作、そしてイメイジトレーニングの形が、踏込みステップによる加重・加圧の切換えです。つまり、外スキーを軽く宙に持ち上げて、前に踏み込んでインサイドエッジに加圧していくということです。
  このときの注意点は、外スキーを持ち上げるときに腰と上体が上に持ち上がってしまい、結果として、スキーの滑走速度に対して腰が後ろに遅れてしまうこと、つまり後傾になって、体重が後ろに残ることにならないように、肩と顔、腰を先行動作させて軽く前に押し出すようにすることです。
  そうならないための方法として、持ち上げた外スキーのトップが下を向いているようにするということがあります。上を向いていたら、後傾になっている証拠です。
  両ストックを前方に押し出すと姿勢の回復ができます。そして、踏み降ろすスキーと反対側のストックを踏み降ろしと同時に前方に突き込みます。
  以上のポイントを押さえたうえでパラレルギルランデの練習をおこなってください。そして、完全なターンを繰り返す連続的なパラレルターンに進んでください。
  斜度の緩い整地斜面での練習から始めてだんだん斜度をきつくしていき、さらにクラスターや小さな起伏があるやや荒れた斜面での滑走に慣れていくのがいいでしょう。なお、この段階では平滑な新雪斜面での滑りはまだまだ困難です。それについては、1級以上の応用技術として解説します。
  とはいえ、私自身の経験からしても、シュテムギルランデやパラレルターンでははじめのうちは、どうしても後傾姿勢になってしまいがちです。姿勢のバランス感覚は何度も繰り返して慣れて習熟していくしかありません。しかし、上記のポイントを理解するかしないかで、天地ほどの差が生まれます。

両スキーを平行にそろえる理由

  左図は、シュテムターンとパラレルターンのシュプール(雪面痕跡)の違いを示したものです。ターンのさいの横幅がかなり違っています。
  左下図は、プルーク姿勢とパラレル姿勢の雪面の底面積の差を示すものです。
  プルークのⅤ字型開脚では底面積がかなり大きくなるので、スキーヤーの重心はそれだけ低くなり、安定性が大きくなります。反対に、両スキーをそろえたパラレルでは底面積が小さくなって、重心は高くなり、したがって安定性は小さくなります。
  さらに、パラレルは横幅が狭くなるので、滑り降りていくときの摩擦抵抗が小さくなるので、加速性が高まり、より高速の滑りができます。逆に減速がプルークほどに簡単ではないので、大きな速度での姿勢制御の難しさがともなうわけです。

  このことから、プルーク姿勢の方が一般的には安定性が大きいということになります。ところが、傾斜のきつい雪面や、凹凸起伏が激しい荒れた雪面や新雪の斜面(オフピステと呼ぶ)では、左右が離れているプルーク姿勢では左右のスキーの位置に大きな高低差が生まれて、むしろ不安定になってしまいます。
  このことから言えるのは、プルークは初心者や初級者が平滑に整地された斜度のなだらかな雪面で、あまり加速しないで、転倒や揺れを防いで安定性を保つことを主要な目的としている滑り方だということです。
  これに対して、パラレルは急斜面や凹凸起伏が激しい雪面、新雪斜面でも、左右のスキーの状況にあまり大きな差はないので、そういう雪面に適した滑り方ということになります。

  以上のことから、パラレルターンではより高度な姿勢制御の技能やバランス感覚が求められることになります。外向傾を保つ必要がそれだけ大きくなるのです。

急斜面での高速パラレルターン

  パラレルのロングターンは大回転競技で用いる基本技術です。パラレルターンをより急斜面で滑るようになっていくと、この大回転競技と同じような技能が求められます。
  その技能の原則は、外向傾をさらに強くするということです。すなわち、急斜面はより滑落しやすくなりますから、エッジを雪面により深く押しつける必要があるのです。
  顔と肩と上体は次のターン弧の中心を見つめ続けながら次の通りターンへの先行動作・準備をいち早くおこないながら、腰と膝を山側により強く押しつけるようにするのです。この技能は、カーヴィングスキーが普及するとともに、一般のスキーヤーは用いなくなりましたが、急斜面・高速でのパラレルロングターンの必要不可欠の技能ですから、試して覚えてください。

  ところで、カーヴィングスキーは板の前方と後方の幅が広く、中央部がくびれている形状です。この形状だと、スキーヤーが初級者でも、かつての競技スキーの上級者並みに、板自身の機能で雪面により強くエッジを食い込ませる(刻みつける)状態にできるのです。カーヴィング Carving とは「強く刻み込む」という意味です。加速性と安定性がはじめから備わっているのです。
  したがって、実際にはさほどの滑走技術や姿勢制御能力が備わっていなくても、外観上、高速で安定した滑りができたようになるのです。しかし、加速性が高まり、エッジング強度が大きいので、しかるべき技能と感覚・判断力がないと、それだけ事故や傷害の危険性が増すことになります。危険回避のためにも、ここで説明している技術・技能を習得してください。
  筋力や反射が少し弱めの人は、あるいは少し疲れがたまったときは、いったん加圧したらエッジング――切り替えのために――を緩めたり、外したりすることが難しくなってしまい、ターン弧の舵取りや速度の抑制がうまくできないことも多いようです――これは指導員クラスでも疲労時に急斜面などでたまに見られる現象です。

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