◆小諸城が依拠した田切地形◆




田 切 地 形

  田切地形とは、上の図のように、河川や海の浸食作用によってつくられた地形です。
  切り立った崖で周囲を囲まれた島のような小さな台地を囲む谷の底に水流が流れている地形です。
  「たぎる」「ぎる」とは、もともと「飛沫を上げて激しく流れる」「秀でた高台が切り立つ」「崖下の谷底を水が荒々しく流れる」という意味があるようです。
  小諸市付近は、浅間山連峰の噴火によって噴出した火山灰や小礫が堆積してできた高原丘陵にあります。火山の噴出物による堆積層は数十メートルに達するようです。堆積層は非常に目の細かい土壌で、強く固まっていますが、強い水流などの浸食を受けやすい地質です。
  丘陵の斜面にはいく筋もの川が流れ、また豪雨の際には激しい水流が丘陵斜面を流れ下りました。それらの流れは千曲川に合流しました。千曲川は高原丘陵の裾野を流れています。
  これらの河川・水流はときおり大規模な氾濫を起こし、大きな破壊力をもつ激流が高原丘陵を流れ下りました。巨岩や礫、大量の土砂、樹木を飲み込んだ本流は、すさまじい浸食力を揮い、切り立った深い峡谷を削り出しました。浸食された面は垂直に近い急な崖となっています。

  千曲川の本流が生み出した大きな渓谷に流れ落ちる河川や水流は、長い間に火山灰が堆積してできた丘陵を削って、崖で縁どられた高台が谷間に屹立する地形、すなわち田切地形を生み出しました。